ひょっとしたらの可能性メールド 武豊タニノフランケルは「よそ行きの競馬」

佐藤直文 レース回顧
鳴尾記念

全てはレーンの手の内に メールドグラース

 前半1000mが60秒4。開幕週の絶好の馬場を考えても、かなり遅いペースであったが、この流れを後方で悠然と構えて、直線でも余裕の手応えで差し切った勝ち馬は、まさに着差以上の完勝であった。

 そのメールドグラース。それだけ落ち着いた競馬ができたのも、レーン騎手が新潟大賞典に引き続いての騎乗で、手の内に入れていたためと言っていいが、勝負どころから大外を回るロスがあっても大丈夫、との自信もあったのだろう。今日のメンバーレベルを考えれば、まだ大きなことも言えないが、目下の状態をキープして宝塚記念に向かうのであれば、ひょっとしたら、の可能性もある。

メールドグラース

大外を力強く伸びたメールドグラースが重賞連勝(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ブラックスピネルは、同型馬に絡まれることなくマイペースで運べたことが好走の最大の因。開幕週の馬場での内回り2000mという条件もピッタリだったか。

 3着ステイフーリッシュは、好位で流れに乗って、前はいつでも交わせるかの手応えだったが、結果的には逃げ馬を交わせなかったあたり、決め手勝負になっては分が悪い馬。もっと積極的に動いて4角先頭の形が理想だろう。

 4着ギベオンは、ある程度の位置で運びたかったはずで、スタート後に挟まれて後方からの競馬になったのは痛かった。直線でも勝ち馬に次ぐ上がりで脚を使っていただけに、もったいない競馬だったと言える。

 5着ノーブルアースは、課題の折り合いは付いていたが、これまた決め手勝負では厳しい馬。2000mの距離もこの馬には短いか。

 タニノフランケルは、テンからさほど行く気を見せずに2番手での追走だったが、ペース的には楽であっても、この形では力を発揮できない印象。ちょっとよそ行きの競馬になってしまったか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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