「千直の王」を襲名ライオンボス 千二のスプリンターズSでも…

佐藤直文 レース回顧
アイビスサマーダッシュ

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斤量増も急遽の鞍上交替も心配ないさ~ ライオンボス

 昨年までに直線1000mで54秒を切る時計が出たのは6回あったが、それは全てこのアイビスサマーダッシュおいてマークされたもの。今年の韋駄天Sの53秒9は、アイビス以外では初の54秒切りであったと同時に、夏場よりも少し時計のかかる春の開催で叩き出された時計という点でも大きな価値があった。それだけレベルの高かった韋駄天Sと、着差も同じでのワンツーというのも至極順当な決着だったと言える。

 そのライオンボスは、この舞台での過去2戦同様に抜群のスタートダッシュで、最初の2ハロンで大外ラチ沿いのビクトリーロードを確保。鮫島駿騎手の負傷による急遽の騎乗となった田辺騎手だったが、他馬の目標となってもこの形しかない、という決め撃ちで、ゴールまで後続を寄せ付けない完勝だった。前半2ハロン22秒1、上がり3ハロン33秒0での55秒1は、韋駄天Sでの21秒7-32秒2と比べても少し拍子抜けする時計だったが、斤量の3キロ増に加えて、向かい風の影響があったことも否めず、時計以上の強さだったと言えるだろう。今後は1ハロンの距離延長とコーナーが課題になるとはいえ、スプリンターズSでも注目すべき存在になったことは間違いない。

ライオンボス

千直3連勝で一気に重賞を制したライオンボス(左緑帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着カッパツハッチは、韋駄天Sでは外枠も味方に付けた感も否めなかったが、今回の枠順でこれだけの走りを見せたことは評価すべきだろう。こちらは1200mでも実績のある馬であり、重賞でも通用するスピードを示したことは、今後に繋がるはずだ。

 3着オールポッシブルは、外枠を利してハナへ行く構えを見せたが、勝ち馬のスピードには敵わなかった。ただ、ブリンカーの効果は十分に窺え、この舞台の適性の高さも示したと言える。

 4着トウショウピストは、無理をせずに外ラチ沿いでの後方待機だったが、意外と外が密集しなかったこともあってか、勝ち馬の直後を伸びてきたもの。直線競馬は初めてだったが、適性はありそうだ。

 5着レジーナフォルテは、道中は2着馬と並走する形で積極的に勝ちに行ったが、落鉄もあったようでこの結果も仕方ないだろう。

 ダイメイプリンセスは、外目の枠だった昨年とは違い、今年の内枠では厳しかったと言えるが、昨年の状態にもなかった感を受ける。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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