武豊と好相性グリム、もしや死角なし？ 「センスが良い」「オールマイティ」

安定感を増すグリムに　リアンヴェリテの勢いが通用するか？

デスク「波乱決着の３年前を除けば、過去１０年で上位３番人気以内の馬が必ず連対を果たしているレース。基本的には堅めの重賞だと考えていいし、軸選びが鍵となるレースだな」

三代川「最近５年で馬券に絡んだ１５頭のうち、１４頭までが４角３番手以内にいたように、逃げ・先行タイプ、あるいはマクリが利くタイプが有利なレースでもありますが、連軸には多少ハイペースでも前に行ける馬から選ぶべきでしょう。さらに、実績面、４歳馬の好走率が高いことも考慮して、◎はグリムに帰着しました」

清野「何より、グリムには目下の勢いがありますし、レースぶりにも安定感がありますからね。過去１０年のうち新潟と函館行われた２回を除く８回で、追い込み馬の連対がゼロというのはわかるとして、逃げた馬も２着が１回のみという苦戦の傾向で、先行馬の実績が突出しているレースでもあります。安定した先行力に加えて、器用にレースを運べるという点でも、軸に最適だと思いますよ」

落合「勢いだけなら北海道で連勝中のリアンヴェリテも互角以上なんだけど、今回は同型馬も揃ってマイペース逃げは望み薄だからな。となると、前を見ながら競馬ができるグリムの方だよ。武豊騎乗時は３戦２勝、３着１回と好相性だし、この先の大きなところを見据える上でも負けられないところだろう」

デスク「本紙中田もそういうことか」

中田「以前は、この馬も先に行かないと競馬にならないところがありましたが、今年に入ってからは脚質に幅が出ていますからね。逃げたい馬が複数いるとはいえ、リードしてくれる馬が揃っているのは、むしろ好材料なのではないでしょうか」

広田「この中間は、前走の盛岡から直接函館入りしましたが、涼しいこちらの環境にもすぐに順応できたようで、順調そのものです。陣営も“以前は精神的な弱さもあって、揉まれるとモロい面もあったが、控えて差す競馬も覚えた今は心身ともに成長を感じる”とのことでしたし、初コース・初距離となる点についても“レースセンスが良くて、距離もオールマイティにこなせる”と、全く不安視はしてませんでしたよ」

不安材料があまり見当たらないグリム（撮影：日刊ゲンダイ）

木谷「コーナーのきつい地方の競馬場でも結果を残しているだけに、たぶんこなせるとは思うんですが、やはりグリムには小回り１７００ｍでの走りに未知の部分がありますよね」

デスク「それを考えると、◎リアンヴェリテとなるわけだな」

木谷「はい。なんと言っても小回りの１７００ｍで４戦４勝ですからね。平安Ｓ２着のモズアトラクションを基準に考えると、斤量が１キロ軽かった大沼Ｓで１秒差の圧勝、逆に斤量が１キロ重かったマリーンＳはクビ差でしたが、今回は同じ５６キロなので、こちらが有利。内枠を引いたマルターズアポジーやドリームキラリといった同型の存在は気になりますが、こちらは大外枠なのでむしろ包まれる心配もないですしね。４角先頭どころか、４角３番手以内の馬が馬券対象のほとんどを占めるレースですから、やはりこの馬でしょう」

瀬古「確かにリアンヴェリテにとって、今回は同型の存在がポイントとなりますが、週中の取材では国分恭騎手も“持ち味を生かすには逃げるのがベストですが、共倒れはしたくないので…”と、作戦の明言は避けてましたね。ただ、同型馬が内枠を引いたことで、その出方次第で行けるなら逃げればいいし、自身は外枠なので控える形になっても砂を被らずに対応できるはずです。輸送が苦手な一方で、滞在競馬では４戦４勝の実績を誇りますし、重賞勝ちの実績馬より１キロ軽い５６キロの斤量で戦える点も有利な材料ですよ」

小桧山「俺はモズアトラクションを狙うぞ。ここ２戦ともリアンヴェリテの後塵を拝したとはいえ、不向きな展開を考えれば力負けとは言えないし、何よりハナへ行きたい馬がこれだけ揃えば、いくら先行有利のコースでも今度は展開が向くと思うんだ。グリムも強いけど、４角先頭くらいで前を捉えに行くはずだし、そのグリムを目標に動くことができればチャンスも膨らむはずだよ」

広田「モズアトラクションの前走は、小回りコースを意識して早目に動く形でしたが、結果的には届かなかったとはいえ“収穫はあった”と、河北助手も内容を評価してましたね。追い切りの動きも素軽く、好調をキープできていますし、あとは、もう少し展開が流れてくれれば、といったところでしょう」