三冠「見えた」スターズオンアース 1番人気は“また”勝てず「スタート全て」

佐藤直文 レース回顧
オークス

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新緑の東京で輝きを増した地上の星 スターズオンアースが二冠達成

 東京2400mにおけるフルゲートの大外枠は、けっしてマイナス材料ではないと考えている。オークスにおいて、フルゲートが18頭となった1992年から昨年までの間、勝ったのは同着優勝だった2010年のサンテミリオンのみではあったが、今日のような内外のトラックバイアスがない馬場状態であれば、自分のリズムを崩さずに走ることができる大外枠は、むしろ有利と考えて良かったのではないだろうか。

 その大外枠からのスタートとなったスターズオンアースだが、中団の外目で巧く流れに乗る最も理想的なポジショニングの競馬。直線を向いて追い出されると、最後まで長く脚を使って抜け出した形だ。桜花賞はゴール前大混戦での僅差勝ちだったが、今回は紛れのない力勝負となっての完勝。無事に夏を越すことができれば、三冠達成の可能性もかなり高いだろう。

スターズオンアース

3番人気スターズオンアースがチカラ比べを制し二冠達成

 2着スタニングローズは、道中は枠なりに好位のインをキープして距離ロスを抑え、直線でスムーズに外へ持ち出す、さすがはレーン騎手と言える完璧な騎乗。最後はさらに外から来た勝ち馬に屈したが、現状の力は出し切ったと言える。成長力に富んだ血統だけに、まだまだ強くなりそうな馬だろう。

 3着ナミュールは、道中は勝ち馬を前に見ながら馬群の内で折り合って運び、直線ではそのまま内に進路を取って脚を伸ばしたもの。不本意な競馬となった桜花賞とは違い、実力は十分に示した形だ。

 4着ピンハイは、これまた勝ち馬を前に見る形で運び、直線では持ち前の勝負根性を引き出すためか、敢えて馬群を割る形での大健闘。ただ、2400mは明らかに長い馬であり、それでこれだけ走れば能力自体の高さを証明したと言える。

 5着プレサージュリフトは、いつもより前の位置で積極的に運んだが、この馬もまた2400mは長かっただろう。

 ルージュエヴァイユは、スタートで隣のアートハウスがヨレたことで、ポジションが取れず、崩れたリズムを最後まで取り戻すことができなかった。それでも6着まで来たように今後の成長次第では大きく期待できる馬だろう。アートハウスは、そのスタート後にエキサイトして抑えが利かなくなってしまったもの。秋に向けては気性面での成長が待たれるところだ。1番人気サークルオブライフは、スタートでの後手が想定外だったか。後方からよく追い上げた桜花賞とは違って、その後も行きっぷりも悪く、直線を向いた時点で圏外の位置。けっして距離が敗因ではなく、スタートが全てだったように思う。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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