潜在能力はGI馬以上のサトノアラジンVS.モーリス二世

サトノアラジンが鞍上の魔法で初重賞へ　ダービー卿ＣＴ

デスク「荒れるハンデ重賞ではあるが、軽ハンデの馬の好走が目立つわけでもないし、来る馬の傾向が掴みづらいレース。人気も例年は割れる傾向だけど、今年は重い印が特定の馬に固まっているような気がするな。中でも本紙◎のサトノアラジン。重賞勝ちどころかＧI馬もいるメンバーなのに、重賞未勝利で大丈夫か？」

武井「ルメール騎手とのコンビでようやく素質が開花した感を受けますが、富士ＳではＧI馬にクビ差２着、マイルＣＳは直線で外まで持ち出すロスがありながら、２着のフィエロとはタイム差なしでしたし、ＧIとまでは言えないまでも、重賞はいつでも勝てるレベルに達しています。内を巧く立ち回りながら最後は勝ち馬と脚が一緒になってしまったエプソムカップが示すように、持ち味は一瞬の加速力だと思いますし、中山マイルもベストの舞台でしょうね」

伊利「実際に、昨年春に今回と同舞台の春興Ｓでマークした上がり３ハロン３２秒７は、中山芝マイル戦での歴代最速です。香港の敗戦も、状態に加えて距離と見ていいですし、このメンバーなら負けられないはずです」

大江原「重賞を勝っていないというだけで、マイルＣＳの内容を考えても、ここでは“格上の存在”なんじゃないか。調教で３週にわたってルメール騎手が跨いだという点で、仕上りも万全と見ていいだろうな」

那谷「ここでは自分の担当馬が３頭いるんだけど、やっぱり取材の感触も一番良かったな。ルメール騎手は“反応が凄く良かった。去年よりも成長している”とニッコリ。陣営も“やっと能力に体が追いついてきた。今年は一気に飛躍する可能性があると思う”と。担当の助手さんも、以前から“潜在能力はラブリーデイより上”と言っていたほどだし、不安な話は全く聞こえてこないんだ」

重賞未勝利ながら実績は十分のサトノアラジン（撮影：日刊ゲンダイ）

佐藤直「ただ、俺は同じ“重賞未勝利馬”でもキャンベルジュニアの方が上と見たいな。余力十分だった前走の勝ちっぷりから、すでに重賞級の能力があると見ていいし、フットワークは明らかに大回り向きだから、中山マイルのコース形態も合うと思うぞ」

デスク「キャンベルジュニアについては、同じ堀厩舎の“モーリス二世”との呼び声もあるし、是非ともここはコジの演説が聞きたいところだな」

小島「南半球産の遅生まれということもあって、昨年は成長の差も出たと思いますが、今年に入ってからは身が入ってきましたね。陣営も“まだまだ成長する”と言っていますし、モーリスとの比較は現時点では時期尚早という見方ですが“先々はそのレベルまで行ける器”と断言しています。こちらも取材していて不安な雰囲気が全く見られませんし、むしろどんな勝ち方をするんだろうか、という期待感の方が大きい印象を受けました。これだけの厩舎が、これだけ自信アリなのであれば、僕も負けることは考えられません！」

デスク「これらに続く人気となりそうなのが、これまた重賞未勝利のダッシングブレイズだろうな。今回は早目の登場で、◎の編集長よろしく！」

上田「昨年秋に復帰してからマイル戦で３連勝。その全てが上がり最速なんだから、マイルでの実力は間違いなく重賞級と見ていいよね。前走はあくまでもアクシデントで、力負けではないんだし、好ラップだった最終追いから、状態面でも心配は要らないと思うよ」

デスク「とはいえ、前走のダメージが気になるところだが…」

那谷「先週、たまたまテレビ番組のゲストで競馬場に来ていた浜中騎手に会って、前走の話が聞けたんだけど“追い出した時に、狭くて怯んだのかミスステップして、バランスを崩してしまった”とのこと。スローの上がり勝負だったので、落ちなくてもあの位置から差し切れたかどうかは微妙なところだけど、馬体やメンタル面のチェックは入念になされているから、後遺症などの心配はないな。“今の中山は差しが決まるし、このメンバーでもヒケは取らない”と、吉村師の評価に変わりはないから、改めて期待できそうだよ」

小野智「一週前の追い切りに跨いできた戸崎圭騎手は“外傷の影響はなさそうでした。中山でのイメージが沸かない馬ですが、枠が出てから作戦は考えます”と言ってました。さ～て、今頃何を考えてるんでしょうね」