余裕、完璧、モズアスコット 見せ場なし武豊インティは「本質的に…」

佐藤直文 レース回顧
フェブラリーS

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圧巻パフォ 次は世界へモズアスコット

 前半3ハロンが34秒6、半マイル46秒4、1000m通過58秒7というラップは、昨年の35秒8-48秒0-60秒2との比較でも明らかなように、いかにもGIらしい速い流れであった。今年は暮れのチャンピオンズCでの1・2着馬が不在で、必ずしもダート最強マイラー決定戦とはならなかったかもしれないが、この激流を中団から余裕の手応えで追走し、このレースにおいては大差とも言える2馬身半もの着差で完勝した勝ち馬は、たとえチャンピオンズC上位組が出走していたとしても、と思わせるパフォーマンスだった。

 そのモズアスコット。走り慣れた芝スタートと後入れの偶数番枠も良かったか、スタートを普通に出て流れに乗る形。ペースも流れたことで外目の枠からでも内に潜り込んでロスのない立ち回りだったが、このあたりは前走で砂を被っても問題がなかったがゆえの鞍上の判断だったろう。直線を向いたあたりでは、人気を分けたインティを前に見る形だったが、その手応えを見て無理に馬体を併せに行かず、自分のタイミングで抜け出したあたりも流石と思えるルメール騎手の手綱捌き。抜け出してからは後ろを確認する余裕すら見せ、たとえ少々の不利があったとしても能力の違いで勝っていただろうが、ここまで完璧に操られては他馬に付け入る隙がなかったのも当然だった。

モズアスコット

人気に応えたモズアスコットが史上5頭目の芝ダートGI制覇(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ケイティブレイブは、マイル戦というこもあってか控える形の競馬。自分のペースで運べる外枠も良かったと言えるが、これがGI初騎乗にして最低人気馬を2着に導いた長岡騎手も、これまた満点騎乗だったと言っていいだろう。

 3着サンライズノヴァは、結果的にはもう一列前で追走できていれば、という感も受けたが、それでも序盤にじっくりと脚を溜めたからこそ本来の末脚を見せることができたのだろう。

 4着ワンダーリーデルは、大外枠から内へ潜り込んで巧く流れに乗り、直線を向いてから外へ持ち出して脚を使ったもの。最後は伸び負けしたが、これまた完璧な立ち回りができたように思う。

 5着タイムフライヤーは、今日の流れを好位で運んで勝ちに行く競馬。それで掲示板を確保したのは立派であり、いずれはダートでも結果を出せるはずだ。

 アルクトスも、5着馬同様に激流の中で正攻法の競馬だったが、このメンバーに入ると力不足だったと言えた上に、ベストも1400mの馬だろう。インティは、昨年以上の速い流れでハナへ行けなかったのは仕方なかったが、それ以前に自分のリズムで走れていなかった印象。昨年勝っているとはいえ、本質的にマイルは忙しい馬なのかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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