「只者ではない」オーソリティは、三冠馬コントレイルを脅かせるか

佐藤直文 レース回顧
アルゼンチン共和国杯

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骨折明けでの完勝劇 オーソリティ

 東京の2500mは、ホームストレッチの坂を2度上がる形となり、2400mとは100mの距離の差以上にスタミナが要求される。当然、コース経験も大きな武器となるのだが、初コースでありながら難なくこなせたのであれば、適性のみならず相当な能力を示したと言える。

 そのオーソリティ。大外枠からのスタートだったが、最初のコーナーまでにスッと好位に取り付き、なおかつスムーズに折り合う形。追い切りではオルフェーヴル産駒らしい気難しさも見せる馬だが、競馬に行くと従順なタイプだ。最後の直線でも2度目の坂を上がってからグイッと脚を伸ばしての完勝。ハンデ差もあったとはいえ、骨折明けの久々でこれだけのパフォーマンスを見せるとは只者ではない。その骨折がなく無事にダービーへ駒を進めていたとしても、当時のレベルではコントレイルには歯が立たなかっただろうが、今後の更なる成長如何ではライバルになり得る馬かもしれない。

オーソリティ

先団から抜け出した3番人気オーソリティが1馬身半差で完勝

 2着ラストドラフトは、これまで2000mを中心に使われ、これまた今回が初距離であったが、中団追走から直線で巧く外目に持ち出されるとしっかりと脚を伸ばしたもの。折り合いさえ付けばこれくらい走っていい馬だが、距離も合うのかもしれない。

 3着サンアップルトンは、正直驚かされた激走だったが、同じ距離の日経賞4着がフロックではなかったことを証明した形だ。脚質的に勝ち切るのは難しいタイプだが、相手次第では今後もマークが必要となる。

 4着ユーキャンスマイルは、3コーナーを過ぎてから内目を通ってジワッとポジションを上げ、直線を向いたあたりでも手応えは十分。ただ、そこから馬場のいい外目に持ち出すことができず、伸び負けた形だ。58キロのハンデも考えれば悲観すべき負け方ではなく、次へつながる競馬はできたように思う。

 サンレイポケットは、直線でその4着馬よりもさらに内のポジション。どこかで外へ持ち出せていれば、結果も違っていたと思える。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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