ヴィクティファルスは「中3週」が鍵に 3着ボーデンは外に持ち出せず

佐藤直文 レース回顧
スプリングS

掴み取った最後の切符 大外一気にヴィクティファルス

 先週土曜ほどの雨量ではなかったが、雨に加えて強風も吹き荒れた日曜の中山。レースを重ねるごとにコンディションも悪化した芝で、距離ロスがあっても外を回る馬が有利という馬場も味方に付けての大外一気を決めた勝ち馬だが、本番でも同様のコンディションになったとしたら、大きなチャンスが産まれそうだ。

 そのヴィクティファルス。枠順も良かったと言えるが、中団でしっかりと折り合いを付けた上で、馬場の外目をノビノビと走らせた池添騎手の好騎乗が光った。前半1000m62秒5のラップは、馬場を考えればそこまで遅い流れではなく、今日のような馬場も苦にしないピッチ走法で、直線では大外からグイグイと脚を伸ばしたもの。距離延長にも全く問題はなく、あとは中3週で今日のダメージをどれだけ回復できるかだろう。

ヴィクティファルス

重馬場の直線大外を鋭く伸びたヴィクティファルス

 2着アサマノイタズラは、3コーナーの過ぎての勝負どころから抜群の手応えで進出し、4コーナーでは内の馬に振られ気味となりながらも、最後まで力強い伸びを見せたもの。結果的には少し仕掛けが早かったかもしれないが、勝ちに行く強気の競馬でこの着差なら胸を張れる2着だ。

 3着ボーデンは、序盤に行きたがって掛かり気味になったことで、内に入れざるを得なかったが、直線でも最後まで馬場のいい外目に持ち出せるシーンがなかった。良馬場であれば結果も違っていた可能性は高く、評価を落とすことはできないが、いずれにしろまだこれからの馬だろう。

 4着イルーシヴパンサーは、道中は人気の3着馬と並ぶ形で追走し、直線を向いて追い出されてからはすぐに反応できなかったが、坂を上がってからようやく脚を使えたもの。先々に繋がる走りはできたか。

 ランドオブリバティは、課題の4コーナーを外の2着馬が壁となったことで何とかクリアできたが、追い出されてサッパリ。序盤に力みが目立っていた影響もあったろうが、やはり右回りは合わないのかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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