早々と“勝ち確”トーセンスーリヤ 9着カフェファラオの芝適性は?

佐藤直文 レース回顧
函館記念

大混戦の2着争いを尻目に トーセンスーリヤが悠々と先頭ゴール

  前の2頭が競り合う形となって、前半1000m通過は58秒5のハイラップ。これを離れた3番手で追走した勝ち馬が、絶好の手応えのまま4コーナーの手前で先頭に立った時点で、勝負あった、という感を受けた。

 そのトーセンスーリヤは、相性の良いこの舞台を目標に調整されて、万全と言えるデキだったが、スタートを出して行って流れに乗り、最初の1コーナーではすでに絶好位を確保。走りのリズムが全く崩れない形で直線を向くと、後続を一気に突き放して勝負を決める完勝劇だった。目下の充実ぶりであれば、もうワンランク相手のレベルが上がっても勝ち負けになると思える。

 2着アイズバブルは、出負けしたものの後方のインでじっくりと脚を温存する形での追走。直線では前が開かずに追い出しを待たされるシーンもあったが、その分がラストのひと伸びに繋がったか。

 3着バイオスパークは、道中は勝ち馬を前に見る好位で追走し、勝負どころからも勝ち馬を追って勝ちに行く形。結果的に2着以下は後方待機組向きの流れとなった中で、内容的には強い競馬だった。これだけ復調を示したのなら、ローカルGIIIではまだまだチャンスのある馬だろう。

 4着ディアマンミノルは、後方待機から4コーナーで大外を回って脚を伸ばしたもの。一旦は2着に届くかの勢いもあったが、最後は距離ロスの分の差が出たか。

 5着サトノエルドールは、前走と同じようなタイミングで動いて前を追い、2着とはタイム差なし。相手強化のここでもやれたことは、今後に繋がるはずだ。

 最終的には1番人気に推されたカフェファラオは、ダートほどの行きっぷりを見せなかったのは、重いハンデの分もあったろうか。小回りコースもどうかと思えただけに、この一戦だけで芝適性の判断は付きかねるが、やはりGIレベルの走りはダートでこそかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。