人気馬は「お疲れだった?」ユニコーンS 7着までの馬にある“可能性”

佐藤直文 レース回顧
ユニコーンS

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上位7頭がコンマ2秒の大接戦 ペイシャエスが制す

 前半3ハロンが34秒3という速い流れのせいもあったとはいえ、1分35秒2という決着タイムは、乾いた良馬場ダートとしては過去2番目の速い時計。微妙な展開やコース取りの差が勝負の明暗を分けた形だが、勝ち馬からコンマ2秒差以内に入線した7着までの馬には今後重賞を勝つだけのポテンシャルはあると思える。

 ペイシャエスは、好位で脚を溜めながらスムーズに追走し、直線でも巧く間を割る形で抜け出して、最後は内と外からの強襲を凌ぎ切ったもの。追い出しのタイミングも含めて、最高の立ち回りができての快勝だった。今日のようなレース運びを完全に身に付けたのなら、もっと大きいところを狙えるだろう。

ペイシャエス

菅原明騎手とペイシャエス(赤帽)が接戦を制して重賞V

 2着セキフウは、内枠で出負けしてポジション取りが悪くなったものの、直線で鞍上が腹をくくってインを狙ったことが功を奏した形。海外遠征帰りながら、巧く仕上げた陣営も見事だった。

 3着バトルクライも、前半は流れに乗れず後方からとなったが、直線で無理に外へ持ち出さずに進路を探しながら前に迫ったもの。それ以上の立ち回りを演じた上位2頭には届かなかったものの、力は十分に示した。

 4着ヴァルツァーシャルは、メンバー最速の上がりで際どいところまで差を詰めたが、直線で外へ持ち出したコース取りの差が出てしまったか。

 5着タイセイディバインは、初ダートながら道中は手応え良く先行し、直線では馬なりのまま先頭に立つ見せ場十分の内容。ペースが速かったために最後に脚が鈍ったとはいえ、今後の選択肢が広がる走りであった。

 リメイク(6着)は、直線で一旦は抜け出しかけるシーンがあったが、最後に伸びを欠いた形。距離かもしれないが、状態面での上積みも一息だったか。ハセドン(8着)も、前走のような脚を使えなかったあたり、思ったほどの上積みがなかったように思える。コンバスチョン(9着)は、直線でスムーズに捌くことができなかったが、これまた海外遠征帰りでけっして体調が万全ではなかった印象。ジュタロウ(10着)は、1分34秒8で駆けた前走の反動が出たと見ていいが、それでもコンマ5秒差なら大きく評価を落すべきではないだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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