マウントロブソンが接戦を制すも、本番の“3強”ムードに変化なし

佐藤直文 レース回顧
スプリングS

またまた金子馬 マウントロブソン

 同じ皐月賞トライアルの弥生賞に比べると今年は少し駒不足とも言えるメンバー構成だったが、過去10年で勝ち馬からクラシックホースが5頭も誕生しており、2頭の弥生賞を大きくリードしている。皐月賞のみならず、その先まで見据えることができる一戦だが、心配された馬場が直前に良馬場へと回復した上に、前半1000m通過も60秒3と、そこそこの流れ。各馬が力を発揮できたレースだったと思う。

 マウントロブソンは、ここまで4戦全てが2000mで、距離短縮での対応がどうかとも思われたが、道中4、5番手で流れに乗せるあたりがシュタルケ騎手の技量の高さ。直線では坂を上がってからのもうひと伸びで、測ったように差し切ったところがゴールだった。母がクロフネの妹という筋の通った良血だが、これで弥生賞のマカヒキとともに最重要トライアルを連覇した金子オーナーの勢いは凄い。本番での“3強”ムードに変化はなさそうだが、その背が見えるレベルにはある。

マウントロブソン

芦毛のディープインパクト産駒マウントロブソンが優勝(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着マイネルハニーは、序盤はアドマイヤモラールの抵抗、そしてケンホファヴァルトに突つかれたりと、けっしてマイペースと言える逃げではなかった。その2頭がシンガリとブービーに沈んだことを考えても、かなり評価できる粘りだった。前走もそうであったが、ハナを切る形に持ち込めば相当な渋太さを発揮する馬であり、今日のところは仕方ないとしても、先々が楽しみとなるレースぶりだった。

 3着ロードクエストは、最後までしっかりと伸びてコンマ1秒差なら、悲観すべき内容ではない。大外を回ってハートレーと接触した前走と同様に、今回もドレッドノータスに振られるシーンもあった。ただ、そういったコーナリングや発馬の悪さも含めて、成長が感じられなかったことも確か。本番での良化が見込めるとはいえ、“3強”に少し水を開けられたと言えるかもしれない。

 4着プランスシャルマンは、向正面から仕掛けて勝ちに動く競馬。見せ場は十分に作っており、こういう形の競馬ができるのであれば、相手次第では重賞でもチャンスが訪れるはずだ。

 5着ミッキーロケットは、出遅れに加え道中も進んで行かず、3コーナーでは離れたシンガリだったが、直線では馬群を縫って進出。これで差し切っていれば“伝説のマティリアルを再現”となったわけだが、さすがにそこまでは無理だった。ただ、1勝馬でもポテンシャルの高さに疑いの余地はなく、いずれは重賞戦線でも互角に戦える器だろう。

 ドレッドノータスは、チャカチャカして序盤は集中力を欠く走り。その後は折り合いが付いたとはいえ、初めての控える競馬で自分のリズムを失ったように思える。現状ではやはり前に行った方が良さそうだが、いずれにしろ気性面での成長が伴わないと、トップクラスとは戦えないだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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