【アメリカJCC回顧】「こだわり」実ったノースブリッジ 5着ガイアフォースは“弱点”を露呈

佐藤直文 レース回顧
アメリカJCC

勝負どころで無駄に動かず ノースブリッジが内から一気に突き抜ける

 先手を取るかとも思われたバビットが内から主張してきたシャムロックヒルにハナを譲ったことで、序盤から隊列が定まって1000m通過が61秒3のスローペースに。3角手前の勝負どころからは後方待機組も動き出して馬群が収縮する形となったが、そのあたりでも好位のインで無駄に動くことなく脚を溜めていた勝ち馬にとっては、何もかもが巧く行った勝利だったように思う。

 そのノースブリッジ。序盤こそ、鞍上も懸命に宥めながらの好位追走だったが、折り合いが付いてからは落ち着いて走れていて、各馬が動き出したところでもジックリと脚を溜めることができた。4コーナーでは開いたスペースから一気に抜け出し、坂を上がってから後続に詰め寄られはしたが、着差以上の完勝だった。展開に加え冬枯れの馬場も合っている印象を受けたが、年齢を重ねたことによる精神面での成長のみならず、陣営がこだわってきた在厩調整もようやく実を結んだと言える。

ノースブリッジ

昨年のエプソムカップに続く重賞2勝目をあげたノースブリッジ

 2着エヒトは、序盤に行き脚が一息で道中もけっして自分のリズムで運ぶことができなかったが、4コーナーで大外を回って力強い伸びを見せ、目下の充実ぶりを示す内容だった。

 3着ユーバーレーベンは、秋2戦よりも状態が上向き、パドックでもかなり良く見えた。早目進出で長く脚を使いながらも最後までけっして止まらずに伸びたあたり、力は十分に示したと言える。

 4着ラーゴムは、直線を向いて内から来た勝ち馬には一気に突き放されたが、そこから手応え以上に渋太く脚を使い、自分の力は出し切れたように思う。

 5着ガイアフォースは、道中は中団でスムーズに追走ができていたが、勝負どころで後方から進出してきた馬たちに外から被される形になると、少し馬が嫌気を出してしまった印象を受け、結果的には脚も余っていた。菊花賞もそうだったが、広いところに出してストレスなく脚を使うことができないと厳しいタイプかもしれない。

 エピファニーは、序盤で折り合いを欠くシーンを見せ、ゆえに勝負どころでも動けなかった感を受けたが、気性的にこの距離は少し長いかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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