【有馬記念回顧】ドウデュース武豊は何がスゴかった? 2500mで「使い切った」“伝説級”の手綱捌き

佐藤直文 レース回顧
有馬記念

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師走の大一番に千両役者が“帰ってきた” ドウデュース&武豊が完全復活

 有馬記念における例年のテーマは、4歳馬を中心とした古馬勢と、ここで初めて顔を合わせるケースの多い3歳勢との力比較。今年はイクイノックスが主要レースを勝ちまくっただけに、実績面でそこまでの信頼を得ることができなかった古馬勢だが、一頭飛び抜けていただけの話で、他の4歳馬のレベル自体がけっして低くなかったことを証明する結果となった。

 ドウデュースは、立ち遅れ気味のスタートで序盤は後方という秋2戦とは違う位置取りとなったが、このあたりは鞍上の計算通りだったろう。ペースが落ち着いた向正面からジワジワとポジションを上げ、3コーナーからはマクリ気味に進出して直線を向いた時点で前を射程圏に捉えた。そこからは前だけでなく後続も意識しながらの競馬となったが、2500mでしっかりと脚を使い切り2着馬を凌いだところがゴールだった。自分の競馬ができなかった秋2戦は、その分だけ消耗していなかったとも考えられるが、やはりこの馬全てを知り尽くした“レジェンドジョッキー”武豊ならではの手綱捌きが、大一番での勝利を呼び込んだと言えるだろう。現役続行の来年も、大きな期待をかけていいはずだ。

ドウデュース

“帰ってきた”武豊騎手とドウデュースがGI3勝目をあげた

 2着スターズオンアースは、大外枠から好発を決めて2番手のポジションへ。本来はもう少しジックリと構えたかったところだろうが、この枠順としてはルメール騎手の最高の騎乗だったか。秋はジャパンC1戦のみで、この馬もまた消耗が少なかったと言える。

 3着タイトルホルダーは、絡んでくる馬もいなかったことで自分の競馬ができていた。ただ、それでも勝てなかったのは、全盛時のデキになかったということだろう。

 4着ジャスティンパレスは、立ち遅れたことで鞍上も腹をくくり最後方からの競馬となったが、前を行く勝ち馬の動きに俊敏に反応することができず、直線でもようやくエンジンがかかったところがゴールとなって脚を余した印象。やはりもっと長い距離の方がいいタイプだろう。

 5着シャフリヤールは、調整面で難しかったはずだが、見せ場は十分に作っていた。条件的にも合っていた香港で予定通りに使えていれば、と惜しまれる。

 タスティエーラソールオリエンスは、完全に力負けしたと言える結果だが、あくまで現時点での差が出たものであり、これからの成長次第では頂点も十分に窺えるだけの器。来年の巻き返しに期待したい。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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