ハマったバクシンテイオーが、夏の女王を差し切って金星ゲット

佐藤直文 レース回顧
北九州記念

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G前で夏の女王を一呑み バクシンテイオーが大金星で重賞初V

 この小倉開催は、前半4週がAコースで、後半2週が内柵移動のBコースとなるが、先週あたりから少し時計がかかり始め、例年よりも荒れが進んでいる印象を受けた。決着タイムの1分8秒5は、スプリント戦となった2006年以降で最も遅かったが、これはメンバーのレベル云々よりも、馬場によるものだろう。同様に過去最も遅かったテンの3ハロン33秒6も、けっしてスローだったわけではなく、差し・追込の決まる流れだったと言える。

 そんな流れで見事にハマったバクシンテイオーだが、昨年がベルカントからコンマ8秒差の6着に敗れていたことを考えれば、少々手を出しづらい馬ではあった。ただ、昨年については、持木TMが紙面コラムで書いていた通り、自身休み明けで大幅な馬体増だったものであり、“順調さで大きく上回る今年は、荒れてきた馬場を味方に大駆け期待”という持木TMの読みがこれまた見事にハマった。前述したように馬場と流れを味方に付けて、7歳にして重賞初制覇となったわけだが、これが25戦目と年齢ほどの消耗はない馬であり、持ち味である一瞬のキレ味が生きる舞台であれば、まだまだ暴れることができそうだ。

バクシンテイオー

大外からキレる脚を使ったバクシンテイオーが重賞初制覇(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ベルカントは、道中3番手から4コーナーでは早目に先頭に立つ強気の競馬。残り1ハロンで抜け出した昨年よりも少し抜け出すのが早かった上に、昨年よりも斤量が1キロ増えていた。ビッグアーサーもいた昨年より組みし易しの相手ではあったが、流れも早かった今回、勝ち馬の餌食となったのも仕方はない。

 3着オウノミチは、けっして自分の形の競馬ができなかったことを考えれば、よく走ったものであり、力を付けていることの証明だろう。ただ、前走なども馬場の荒れたインをよく伸びていたあたり、こういった時計のかかる馬場が合っていたと言える。

 4着ジャストドゥイングは、外枠から果敢に先行し、直線でベルカントに早目に交わされてからも渋太く粘っていた。今日のところは先行馬に厳しい流れだったものであり、これまた力を付けている。

 5着ベルルミエールは、出遅れて最後方からの競馬。昨年3着から着順を落としたものの、ベルカントとの差はコンマ1秒詰まっており、力は出し切っているか。ただ、小倉にも実績があるとはいえ、今なら直線に坂のあるコースの方がいいかもしれない。

 ラヴァーズポイントは4着馬とともに大外枠から前へ行ったが、51キロの軽量だったことを考えてもちょっと止まり過ぎ。荒れ馬場でのテン33秒6がオーバーペースだったと言える。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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