鮮やか復活リアルスティール 8着ソウルスターリングは瞬発力不足

佐藤直文 レース回顧
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大本命馬の失速を尻目に リアルスティール

 先行勢が出方を窺う中、内枠もあってか断然人気のソウルスターリングが“仕方なく”ハナを切る形で、1000m通過が60秒0の緩いペース。仕上り自体は申し分なく、死角があれば“直線向いてヨーイドン”の瞬発力勝負になった時だと思っていたが、まさにその通りの競馬になってしまった。

 リアルスティールは、このスローな流れを中団でデンと構えての追走。直線半ばで満を持して追い出されて先頭に立ち、並んできた2着馬の追撃を凌いでの復活勝利となった。元々鉄砲駆けするタイプではあるが、以前に見られたうるささも影を潜めていたように、今回は7ヶ月の休養をうまく使って心身ともに成長したと言える。このあとは天皇賞へ向かうことになりそうだが、実力馬が一皮剥けたことで今後が楽しみになった。

リアルスティール

リアルスティール(緑帽)がサトノアラジン(桃帽)の追撃を退け優勝(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着サトノアラジンは、緩いペースでジックリと脚を溜めるのは前走の安田記念と同じ形で、本来の競馬ができたと言える。こういうペースになれば、もう1ハロンの距離延長にも対応できるはずだ。

 3着グレーターロンドンも、遅いペースで距離を克服できたと言えるが、仕上り自体が一息だったことでジョッキーも半信半疑の乗り方だったか。もう一つ前のポジションで運べていたら、もっと際どい勝負になっていただろう。

 4着ダイワキャグニーは、ペースにも恵まれて2番手から流れ込んだ形だが、初めての古馬一線級との手合わせでこれだけ走れば上等だろう。今後の展望が開ける内容だった。

 5着ヤングマンパワーも、同様に好位からの流れ込みだったが、有利とは言えない瞬発力勝負となった割にはよく頑張っていた。

 マカヒキは、春よりも雰囲気は良くなっていたが、まだだったか。ただ、この馬に1800mは短い印象も受けるだけに、このあとの良化次第とはいえ本番での巻き返しがあっていい。ソウルスターリングは、前述したように上がり33秒前後の瞬発力が要求される競馬では未知数だった馬。ハナへ行くのなら、後続にも脚を使わせる形で逃げるべきではなかったか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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