普通に走れば勝って当然、ゴールドシップが魅せた超A級の底力

【佐藤直文 先週のレース回顧】
3月21日、22日の開催には、東西で今後のGI戦線を占う重賞が組まれた。この結果をしっかりと分析することが、本番の攻略に繋がるはずで、まずは土曜の重賞から順に振り返りたい。

佐藤直文 レース回顧

大物誕生の予感 【フラワーカップ】

今世紀に入ってから、ダンスインザムード、キストゥへヴンの桜花賞馬、スマイルトゥモロー、シーザリオのオークス馬、そして秋華賞馬ブラックエンブレムと、5頭のGI馬を生んでいる出世レース。近年は途絶えているものの、今年は大物出現の予感を覚える。

勝ったアルビアーノは、最内枠から無理なくハナを奪ってマイペースの逃げではあったが、全く危なげのない完勝であり、一言、強かった。懸念された距離も全く問題はなく、更なる延長にも対応できそうだが、課題があるとすれば気性面の問題だろうか。今後は抑える競馬ができるか鍵となるが、一級品の素材であるこ とは間違いなく、今世紀6頭目のタイトルホースとなる可能性も十分ある。

2着アースライズは全くのノーマークであったが、狭いところを 割って伸びた根性と、レース運びの巧さが好走の因。3着ディアマイダーリンも巧く立ち回ったと言えるが、逆に2着争いに屈したロッカフラベイビーローデッドは、外を回って追い上げざるを得なく、器用さが足りなかったと言える。

馬場が生んだ大波乱決着 【ファルコンステークス】

こちらもまた1枠1番馬の勝利となったが、単勝14番人気のタガノアザガルには驚かされた。この日の中京は雨の影響が残って外からの差しが利かない馬場だったが、有力馬の多くが控えて差すタイプであり、枠なりに好位のインをロスなく運べたことが最大の勝因だろう。

2着アクティブミノルも前で運んだことが功を奏したが、前半でハナを争いながら最後の叩き合いでもけっして脚は鈍っておらず、今後の短距離路線でも目が離せない馬だ。上位2頭をまとめて交わす勢いで伸びながら届かなかったヤマカツエースは、良馬場であったならという印象を受けたが、勝ち負けまでに持ち込め たのは道中でロスなくインを回ることができたため。逆に1番人気フミノムーンは、外を回っての差しで届かなかった形で、枠順の差とも言える。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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