逃げ馬を突付いてペースメイク 快勝ダンビュライトはキタサンブラック似

佐藤直文 レース回顧
アメリカJCC

クラシックは善戦止まりでもこの強さ ダンビュライト

 どの馬が行くとしてもスローペースは見えていたメンバー構成で、実際に1000m通過は61秒3と縦長の展開の割にはゆったりとした流れだった。ただ、そのままスローに流れて馬群が凝縮していれば完全な瞬発力勝負となったはずだが、向正面から前が一気にスピードアップしたことで後続も早目に脚を使わざるを得ない状況に。瞬発力勝負では分が悪い勝ち馬にとって、最高の形となった。

 そういう流れを味方に付けたダンビュライトだが、ペースが緩んだ向正面で逃げ馬を突付き、自分で競馬を作った点は高く評価すべきで、今の馬場で2分13秒3の走破タイムもけっして悪くはなく、強い内容であった。瞬発力不足を補う意味でも今日のような競馬は最善策であり、タイプ的にもキタサンブラックが抜けたポジションに納まる可能性は高く、春のGI戦線でも楽しみな存在となった。

ダンビュライト

積極策でダンビュライトが初重賞制覇(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ミッキースワローは、この流れで後方から運ぶ馬にとっては難しい状況だったが、早目に追い上げる形で最後まで脚は使っていた。今日のところは勝ち馬を褒めるべきであり、力は示したと言える。

 3着マイネルミラノは、途中から後続を引き離す逃げとなったが、これはこれで自分の競馬であり、持ち味を生かしたと言える。2000m戦を中心に使われているが、距離もこのくらいあった方がいい馬だろう。

 4着ディサイファは、2着馬とともに進出を開始して、最後まで渋太く伸びたもの。明けて9歳となったが、年齢を感じさせぬ走りだった。

 5着トーセンビクトリーは、2着馬と並ぶ最速タイの上がりだったが、今日の流れではここまでが精一杯だった。

 レジェンドセラーも、届かないポジションだったが、動けなかったのはプラス10キロの太目残りだったためだろう。ゴールドアクターは、序盤こそ前に行く構えは見せたものの、本来の行きっぷりではなかった。放牧先から早目に帰厩しながらなかなか早い時計が出なかったあたり、状態が本物でなかったのも確かで、返し馬でも鞍上が“アレッ?”と思ったらしく、あまりにも走りのバランスが悪いためにレースでも無理をしなかった形だ。完全復活には少し時間を要するかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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