ＧI馬３頭参戦も、その内２頭は「◎ナシ」 ＴＭ評価が分かれた中山記念

仕上りが鍵のＧIホース勢　本紙◎ペルシアンナイトは大丈夫？

デスク「近年は出走馬のレベルが高くなっているレースだけど、今年はＧIホースが３頭か。いずれも休み明けとなるんだが、恥ずかしくない競馬にはなりそうだな」

守屋「ただ、ペルシアンナイトが頭一つ抜けた存在でしょう。前走のマイルＣＳは、不利な大外枠からスタート後にジワッと下げて、すんなりと馬群の真ん中へ。直線では、他馬の脚色を見ての進路取りが完璧で、まるで“モーゼの十戒”のように前が開き、抜け出したエアスピネルを捉え切ったミルコ・デムーロ騎手の神騎乗。あのコース取りじゃないと交わせなかったと思いましたし、この馬の特性を、熟知していないとできない競馬でしたね。逃げ先行勢がそれなりに飛ばして行きそうなここは、好位から中団で進めるこの馬に展開も向きそうです」

武井「ペルシアンナイトは、皐月賞の内容も高く評価できますね。出負けした上にとてもスムーズとは言えない競馬でしたが、レースセンスの良さで克服して、コースレコード決着でタイム差なしの２着。その皐月賞の３・４・６着馬が、既に上の世代を相手にＧII勝ちを果たしているという点でも、マイルのみならず中距離でも頂点を目指せる力は証明済みだと言えますよ」

西田「私は、ペルシアンナイトの前走を見て“マイルでこそ”と感じましたが、皐月賞と同じ中山のコーナー４回なら、この距離も全く問題ないでしょうね」

伊利「これまでに連を外したのは、道悪のシンザン記念、富士ステークスと、明らかに距離の長かったダービーだけですからね。多少天気に崩れがあったとしても、開幕週の馬場なら、まず勝ち負けになるはずです」

坂倉「強い４歳世代で、実績上位、そして鞍上と、死角のない大本命馬だと思いますよ」

デスク「とはいえ、３ヶ月ぶりでの始動戦となるんだから、仕上りを含めた状態が鍵になるんじゃないか？」

那谷「この春はここから大阪杯、というのが既定路線。前走後は香港には目もくれずに放牧に出し、１月末に帰厩してからは、調教は滅法動くトゥザクラウンをパートナーにしてしっかりと負荷をかけられているよ。放牧から帰ってカイ食いが少し落ちる傾向もあって、富士Ｓなんかも馬場だけが敗因ではないと思うけど、同じ久々でも今回の方がカイ食いの回復も早いから、仕上りとしては当時よりも上だろうな。実際、最終追いに乗ったミルコも“富士Ｓの時よりも状態はイイネ。まだまだ良くなりそうだけど、休み明けとしては十分な仕上り。捌きやすい頭数も歓迎だよ”と、感触は抜群だったよ」

久々も乗り込みは十分積んでいるペルシアンナイト(手前)（撮影：日刊ゲンダイ）

デスク「残るＧI馬２頭には、誰も◎を打っていないんだな。やっぱり、久々が嫌われているのか？」

広田「前走では直線でいつものように弾けなかったヴィブロスですが、陣営によると“極端なスローペースになったこともあって、珍しく道中で力み、ハミを噛んでしまった分”とのことでした。昨年のこのレースでは４２４キロでの出走でしたが、その後は一戦ごとに馬体が増えて充実しているので、今回は４５０キロ前後の出走になっても、けっして太くはないようです。今年もまたドバイへのステップとなる一戦ですが、“状態だけなら（５着だった）昨年より全然いい”のなら、無視はできませんよ」

守屋「僕はペルシアンナイトの相手としては、ヴィブロスが筆頭だと見ています。前走は行きたがっていたこともありましたが、やや距離も長かったんでしょう。昨年のドバイでの勝ち方が強烈で、府中牝馬Ｓも負けて強しの内容なら、１８００ｍがピッタリだと思いますね。ただ、ひとつだけ引っ掛かるのが、５４キロだった昨年よりも２キロ増えた５６キロの斤量です。輸送しても馬体が減らなくなったように、心身ともに成長していてパワーアップしているのは明白ですが、決して楽な条件ではないですよ」

山崎「アエロリットも、前走が案外の結果に終わりましたが、レース序盤や３コーナーでも早目に外から来られる厳しい展開に加えての道悪で、敗因は明白です。気になる仕上りについては、先週までは少し重かったようですが、自ら調教で跨いでいる菊沢師が“今週のひと追いで仕上った”とのことなら、そう不安はないと思いますよ」

守屋「アエロリットは、ヴィクトリアマイルを見据えた仕上げになるわけですが、気で走るタイプだけに久々自体は大丈夫そうです。同型馬と、どう駆け引きしていくかが見ものですが、この馬のリズム重視で行くハズで、鞍上と鞍下との意思疎通の巧みさは横山典騎手の真骨頂のひとつ。何かやってくれそうな予感はありますよね」