力が違ったタワーオブロンドン 大手を振ってNHKマイルへ

佐藤直文 レース回顧
アーリントンカップ

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久々もキッチリ仕上げ タワーオブロンドン

 今年からNHKマイルCのトライアルとして施行時期も変更された形だが、それなりの好メンバーが揃った印象。前半1000mの58秒7も適度な流れで、各馬が力を出し切れる展開となった。

 タワーオブロンドンは、後方でジックリ脚を溜めて運び、直線を向いて前が壁になるシーンもあったが、スペースが開くと一気に突き抜けたもの。馬の能力を信じて、慌てず騒がず立ち回ったルメール騎手の冷静さと、ゴーサインを受けて一気に反応した俊敏さで、着差以上の完勝だったと言える。4ヶ月ぶりの久々でマイナス体重というのは藤沢和厩舎にしてはキッチリと仕上げられた感を受けたが、メンバー唯一の重賞勝ちという実績からも、ここは負けられない一戦だったはずであり、大手を振ってNHKマイルCへ臨めるはずだ。

タワーオブロンドン

一気の脚で重賞2勝目をあげたタワーオブロンドン(黄帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着パクスアメリカーナは、道中は枠なりにインを上手く立ち回り、直線で目標とした4着をキッチリと掴まえた味のあるレースぶり。外から一気に来られた勝ち馬に抵抗できなかったのは仕方なく、まだ上がり目も見込めることを考えれば、本番での逆転も不可能ではない。

 3着レッドヴェイロンは、逃げ切った前走とは一転して後方から運ぶ形となったが、直線でなかなかの伸び脚を見せての出走権獲得で、距離もマイルがベストだろう。まだ戦法が定まっていないとはいえ、自在性があるのは大きな武器であり、これまた本番で可能性のある一頭だ。

 4着インディチャンプは、前走で脚を余したこともあって積極的に前で運ぶ形だったが、少し気性的に難しいところがあるのか、鞍上の意のままに動けなかった印象を受けた。

 5着ダノンスマッシュは、大外枠からジワっと前に取り付いて、前走とは違ってスムーズな競馬ができたが、直線で追われてからがもう一つ。マイルは少し長いのかもしれない。

 エアアルマスは、未勝利を勝って4ヶ月ぶりというのは敷居が高かったか。素質はあっても、まだこれからの馬だろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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