ベストの戦法で見せた牡馬の意地 アドマイヤマーズが無傷で春へ

佐藤直文 レース回顧
朝日杯フューチュリティS

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気性よし、距離の融通も利くか アドマイヤマーズ

 前半3ハロンが35秒3、1000m通過59秒5というラップは、先週の阪神JFと比べても遅く、しかも4コーナーを回った時点で先行グループと後続集団の間に差もあったことで、とても後方からでは届かない流れとなった。実際に、掲示板に載った5頭は全て道中で6番手以内という完全な前残り決着であったが、遅い流れにもかかわらず阪神JFをコンマ2秒上回る時計で駆けた勝ち馬は、展開の利とは言わせないほどの強さを示したと言えよう。

 アドマイヤマーズは、好スタートを決めて人気のグランアレグリアを前に見る絶好のポジションに。道中で一旦は3馬身ほど水を開けられるシーンはあったものの、勝負どころからは“この馬を交わせば勝てる”という自信が鞍上に窺えた仕掛けで差を詰めて、直線を向くやいなや、一気に交わした形だった。先頭に立つのが少し早いかと思えたかもしれないが、前へ行って渋太く粘る形が理想のダイワメジャー産駒らしく、これがベストの戦法だったと言えよう。マイルが合っているのは確かだとしても、父とは違って鞍上に従順な気性でもあるだけに距離の融通も利きそうで、無傷で臨む来春の走りが今から楽しみである。

アドマイヤマーズ

無傷の4連勝で朝日杯FSを制したアドマイヤマーズ(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着クリノガウディーは、最内枠からスタートを決めてこれまた絶好のポジションで運んだことが、まずは最大の好走の因であったが、4コーナーでは隣の馬にぶつけられる不利がありながら、怯むことなく力強く脚を伸ばしたもので、単に展開に恵まれただけではない。前走もそうだったが、今日も道中で少し力みが見えた走りで、成長でそのあたりが解消されれば、クラシック戦線でも楽しみな一頭となるはずだ。

 3着グランアレグリアは、これまた序盤に少し力んで鞍上も宥めながらの2番手追走だったが、ペースとしては楽だったはずで、4コーナーでも手応えは十分にあった。直線を向いて追われてから内にモタれた点も敗因の一つだが、それ以上に牝馬らしい繊細さが露呈したと言えようか。課題も見つかったことで、今後はその克服も鍵となるが、けっして悲観すべき内容ではないはずだ。

 4着ファンタジストは、外枠から折り合いを付けながら運んで直線でも渋太く脚を伸ばした形だったが、内枠を引けていれば、もう一列前で運んで着順を上げた可能性もある。ベストは1400mかもしれないが、マイルまでなら十分に力を発揮できるタイプだろう。

 5着ディープダイバーも、好位から運ぶ自分の競馬に徹して渋太く粘り込んだもの。自己条件に戻ればすぐにでも勝ち上がることができるだろう。

 マイネルサーパスは、折り合いを重視する余り、ポジションがどんどん下がってしまったもの。今日の流れでは出番がなかったとはいえ、気性面での成長が待たれるところだ。ケイデンスコールは、流れが向かなかったこと以前に、後方から全く反応しなかったもの。プラス6キロの馬体に太目感はなかっただけに、現時点では明確な敗因がつかめない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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