ゴール直後に会心のガッツポーズ 名手に導かれミスパンテールが連覇

佐藤直文 レース回顧
ターコイズS

一瞬の脚を生かして ミスパンテール

 少し立ち遅れたカワキタエンカが外から一気にハナへ行ったこともあって、テンの3ハロンが34秒2、1000m通過も57秒0という、牝馬のマイル重賞ではなかなかお目にかかれないハイペースとなった。力があればどの位置からでも、という流れだったが、勝ち馬から11着までがコンマ4秒差という一塊での入線は、ハンデキャッパー冥利に尽きたのではないだろうか。

 ミスパンテールは、好スタートから控えて中団のインで流れに乗る形。4コーナーでスッと外へ持ち出してスペースを見付けると、坂上からグイと抜け出し、昨年とは違うレースぶりで連覇を決めた。ゴール直後に鞍上の左手が上がったあたり、会心のレース運びだったと思えたが、やはり一瞬の脚を生かせる中山マイルがベストの馬であろう。昨年もこのレースを皮切りに重賞3連勝を成し遂げた馬であり、次も目が離せない。

ミスパンテール

坂上から伸びたミスパンテール(黒帽)がターコイズSを連覇(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着リバティハイツは、イレ込み対策のために着用したメンコの効果もあったが、さすがに強い3歳世代の重賞勝ち馬であり、状態が一息だった夏場から立ち直ったのなら、これくらい走って当然だったか。

 3着デンコウアンジュは、後方から外へ持ち出さず、開いたインを掬って巧くハマった形。昨年のこのレースも3着だったように、脚質からのイメージ以上にこのコースが合うのかもしれない。

 4着フロンテアクイーンは、思い切った先行策自体は、重賞で惜敗続きの現状を打破するための良策に思えたが、如何せんペースが速過ぎたか。それでもこの着順に踏みとどまったのは地力の高さに他ならないだろう。

 5着ディメンシオンは、流れも速かったために、これまでのようにスパッとはキレなかったが、重賞初挑戦でこれだけの走りを見せたのならメドは立ったと言える。

 プリモシーンは、直線入り口で前をカットされ、その後も進路を探しつつで満足に追うことができなかった。ただ、今日のところは力負けではないにしろ、スムーズに捌けるかという注文が付く馬だ。フローレスマジックは、前述したようにこの馬までが勝ち馬とコンマ4秒差で、着順ほど大きく負けたわけではないのだが、それにしても本来のキレが全く見られなかった。3歳時の実績を考えても、これが力負けであるはずはないのだが…。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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