7連勝で一気に頂点へ 止まらないインティの止まらない進化

佐藤直文 レース回顧
フェブラリーS

サクセスストーリーはまだこれから インティ

 最近3年はいずれもハイラップで差し・追込勢が台頭する流れとなっていたが、ガンガン飛ばすタイプが不在の今年は、そこまでのペースにはならないだろう、という見立ては結果的にも正しかった。ただ、スタートして誰も行かないのなら行くよ、と言わんばかりに出たなりで1番人気馬がハナに立ち、前半3ハロンが過去10年で最も遅い35秒8では、その時点で勝負あったと言えたのではなかろうか。

 インティは、前述したように何の苦労もせずにハナへ立ち、息を入れながらのマイペースで、1000m通過も60秒2。そして残り3ハロンから、11秒6-11秒4と一気に加速したのであれば、好位勢はひとたまりもなかった。最後は2着馬の猛追に遭ったが、着差以上に手応えには余裕があり、完璧な逃げ切りだったように思う。走るたびに進化を見せて頂点に立ったわけだが、おそらくまだ進化は止まっていないはずであり、次のステージでどんな走りを見せてくれるのか楽しみにしたい。

インティ

逃げたインティ(青帽)が7連勝でGI戴冠(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ゴールドドリームは、前とは離されずに、しかもいつでも外へ出せるポジション。言うのは簡単だが、今日のスローな流れの中で、ここまで完璧に運んで見せたルメール騎手はさすがであった。捉え切れなかったのは相手が悪かっただけであり、3着以下を4馬身も引き離して決定的な力の差は示したと言えよう。

 3着ユラノトは、枠なりに内目をロスなく運んで、ラストもしっかりと脚を伸ばしたもの。これまた完璧に近いレースぶりでのこの着差が、現状での力の差だろう。

 4着モーニンは、いつになく前々で運んで最後まで渋太く脚を使っていた。スローだったから、とも言えそうだが、こういう競馬ができたこと自体は収穫だろう。

 5着コパノキッキングは、後方でジックリと脚を溜めて直線勝負に賭ける形。菜七子騎手らしい乗り方ではあったが、距離的に不安のある馬だけにこれは正解だったと思える。ハイペースで同じように脚が溜まったかどうかはわからないが、通常の年の流れであればハマった可能性はある。

 オメガパフュームは、勝負どころから2着馬と並走する形で同じタイミングで仕掛けられたが、全く見せ場がなかったもの。距離不足だったのかもしれないが、コーナー4回のコースの方に適性があるのではないか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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