「予想するのはかなり難しい」12番人気イベリスVで大波乱

佐藤直文 レース回顧
アーリントンカップ

気分良く走ってアレヨアレヨ イベリス

 先行馬が揃ってのフルゲートだった割には、半マイル47秒4と、意外にも落ち着いたペースとなった。この流れを生かした逃げ馬と、瞬発力勝負になって決め手を生かした馬が上位を占めた結果自体は納得できたものの、その顔ぶれを予想するのはかなり難しい波乱決着であった。

 イベリスは、スタートを決めて自然な形でハナへ。これまで使った最長距離が1400mという馬の逃げに、好位勢が少し可愛がったこともあってか、常に1~2馬身の差を保ったストレスのない逃げとなった。直線でも、一旦は後続に並びかけられるシーンがあったが、道中で楽ができたことでラスト1ハロンも11秒台でまとめての鮮やかな逃げ切り。これ以上ない理想的な競馬ができたように思う。

イベリス

ロードカナロアの牝駒イベリスが逃げ切りV(奥黄帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着カテドラルは、出遅れて4コーナーどころか直線の残り300mあたりでもまだ最後方のポジションだったが、密集した馬群を縫うように脚を伸ばしてきたもの。今日のところは、シュタルケ騎手の神業に近い手綱捌きが全てだったとはいえ、マイルは意外と合う感も受けた。

 3着トオヤリトセイトは、前走同様の直線勝負で最後に2着馬に差されたのは、追い出しのタイミングの差だけ。直線の長い東京では、パフォーマンスを更に上げてきそうだが、距離はマイルがギリギリの馬だろう。

 4着ニシノカツナリは、直線を向いたところで前が壁になり、そこから外へ持ち出すロスがあってここまで差を詰めたのは力の証し。これまた直線の長い東京向きの馬であり、自己条件に戻ればアッサリのクチだろう。

 5着ユニコーンライオンは、好位で流れに乗って最後まで渋太く粘っていたが、もうワンテンポ早く仕掛けて4コーナー先頭の形だったなら、あるいは、と言えたかもしれない。

 ヴァルディゼールは、普通に突き抜けておかしくない流れと位置取りだったが、速い脚を使えなかった。久々よりも時計の裏付けがなかったことが敗因と言える。ヴァンドギャルドは、完全にキレ負けしていたあたり、マイルは明らかに短いのだろう。フォッサマグナは、掛かったのが全てとはいえ、それもこれも大幅な馬体減ゆえだったか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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