「納得の強さ」ウィクトーリアは、オークスでも勝ち負けできるか?

佐藤直文 レース回顧
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まさかの出負けも臨機応変の立ち回り ウィクトーリアが本番でも

 桜花賞に出走できなかった馬がここでオークスの出走権を狙う、というレースの性格は今も昔も変わりはないが、近年は桜花賞はハナから眼中になくオークス一本に狙いを定めてきた馬の参戦が多くなってきている。今年も、例年通り1勝馬が多くを占めるメンバー構成ではあったが、けっしてメンバーのレベルは低いものではなく、着差以上の強さを見せた勝ち馬は、桜花賞馬が不在の本番でも勝負になっていいのではないか。

 そのウィクトーリア。少し立ち遅れた上に隣の馬にぶつけられ、過去2勝がともに逃げ切りの馬にとっては思わぬ後方からの競馬となったが、鞍上が慌てず騒がず折り合いに専念し、道中もインをロスなく回る形。直線を向いたところでは、前にも外にもスペースがなかったが、そこから無理なく徐々に外へ進路を取り、ようやく前が開いた残り1ハロン手前から溜めていた末脚を爆発して抜け出した。普通にスタートを切っていたら、どういう競馬になったのかはわからないが、こういう競馬ができたこと自体が大きな収穫であり、出負けしたことも結果的には良かったのかもしれない。新馬戦レコード勝ちの性能を考えても納得の強さであり、これは本番でも楽しみになった。

ウィクトーリア

新たな一面を見せて快勝のウィクトーリア(黒帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着シャドウディーヴァは、枠なりに中団のインをピッタリと回り、直線でも全く外に出す気はなく、前が開かなかったらごめんなさい、という一か八かの鞍上らしい騎乗ぶり。この枠を引いたらこの戦法しかない、という決め打ちだったろう。オークスでも巧くハマれば、といったところだが、距離的には2000mがギリギリの馬かもしれない。

 3着ジョディーは、勝ち馬の出遅れもあって無理なくハナに立ってのマイペース。しかも、途中から2番手以降に水を開けたのは理想的な逃げの形だった。こういう競馬ができれば渋太いことは、クイーンCでも証明済みだった馬であり、納得のできる結果だった。

 4着パッシングスルーは、好位でうまく流れに乗り、直線でも少しエンジンのかかりが遅かったが馬群を割ってよく脚を伸ばしたもの。久々と一気の距離延長を考えても、素質の高さを示す走りだったが、この馬もまた距離は2000mがギリギリかもしれない。

 5着フェアリーポルカは、大外枠から終始外を回らされる厳しい形で、直線でも自ら勝ちに動いて行った分、最後に苦しくなってしまったもの。上位4頭が真ん中から内の枠で、しかも道中でインを回っていた馬たちだったことを考えれば、力は示したと言えるが、左回りの走り自体も今一息だったか。

 セラピアは、序盤から力みっぱなしで、絶好のポジションを生かすことができなかった。ただ、このあたりは能力ではなくキャリアの差と言えるだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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