今度こそ“まつり”を キタサンブラックがサブちゃんと菊の舞台へ

【佐藤直文 先週のレース回顧】
先週は東西で3歳GIのトライアルが組まれた。中山のセントライト記念は、14着と沈んだダービー以来のキタサンブラックが、勝って菊花賞への参戦を決めた。阪神のローズステークスは、上がり馬タッチングスピーチが、オークス馬ミッキークイーンを退けて秋華賞へ向かう。

佐藤直文 レース回顧
ローズSセントライト記念

ダービーと全く同じ展開で 結果は“行った行った” 【セントライト記念】

 優馬紙面のコラムでも書いたが、近年はダービーからの休み明けで臨戦する馬が優勢の傾向だが、一方で1番人気馬の信頼度が今一息。その通りの結果となったわけだが、だからと言って簡単な馬券ではなかったことは、馬連万馬券という配当が示している。

 ハナへ行ったのはミュゼエイリアンで、2番手がキタサンブラック。これはそっくりダービーと同じ展開だったが、ともに二桁着順に沈んだダービーと決定的に違っていたのは、道中のラップだった。1000m通過がダービーの58秒8に対して、今回は61秒1と2秒以上も遅く、さらにそこから1600mまでも12秒台のラップ。正味上がり3ハロンだけの競馬なら、前で運んだ重賞ウィナーが残って当然の結果だったわけだ。ただ、11着までがコンマ5秒差であり、着順イコール能力差というわけではないだろう。

 勝ったキタサンブラックは、陣営のコメントも“出たなりで”というもので、流れに乗った形が結果的に先行2番手だったということだろう。スプリングSや皐月賞の走りが示すように、中山コースでの抜群の適性を改めてアピールしたと言える。展開に恵まれた面があることから、今回の勝利がそっくり次走につながるというわけではないが、プラス12キロとやや余裕残しの仕上げであったことを考えれば、菊花賞でも軽くは扱えないはずだ。

キタサンブラック

スプリングSに続いて、中山コースで重賞制覇を飾ったキタサンブラック(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ミュゼエイリアンは、逃げて持ち味を最大限に生かし切った形。4角手前でキタサンに並びかけられてからも渋太く抵抗できたのは、やはりそれだけ道中で楽ができていたからこそだが、今後はマークされる立場となった時の対応が課題となるだろう。

 3着ジュンツバサ、4着ウイングチップは、内枠からロスなくインで運べたことが好走の因。2分13秒8という決着タイムからも、500万を勝ったばかりの馬でも枠順次第では掲示板に載れるという競馬だったと言える。

 サトノラーゼンは折り合い重視の競馬で、4角でも距離ロスを抑えて外を回さなかったが、やはり今日の流れでは位置取りが悪過ぎた。ブライトエンブレムも仕掛けながら外を回って追い上げる形。前述したように、タイム差は僅かで力負けではないだけに、この2頭の着順は参考外と見ていい。ただ、敗れた組の中では、4角シンガリだったレッドライジェルが一頭だけ目立つ末脚を使っていた。道中の流れ次第では突き抜けていた可能性すらあったと言える。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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