着差は「クビ」だが… テーマに沿ったダノンファンタジー

佐藤直文 レース回顧
ローズS

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ラスト1冠は譲れない ダノンファンタジー

 序盤は出入りの激しい流れとなったが、ポジション争いが激化したわけではなく、前半1000m59秒3という遅めペースがもたらしたもの。ただ、そんな流れだったにもかかわらず、従来のコースレコードを更新する時計で駆けた上位3頭は、それそれ一夏越しての成長を示したと言えよう。

 ダノンファンタジーは、抜群のスタートを切りながら、自分のテーマに沿うかのようにスッと下げたことで、ポジション取りは悪くなった。ただ、このあたりは鞍上とのコミュニケーションが取れていたからこそだろう。さすがにレースの上がりが33秒4という前有利の流れで、中団から差すのには少々骨を折ったが、自分の競馬に徹した上で結果も出したという点では、着差以上の内容だったと言える。

ダノンファンタジー

人気のダノンファンタジーが秋初戦で好発進(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ビーチサンバは、序盤は控える構えだったが前半3ハロンを過ぎてからスッとポジションを上げて2番手へ。今日の流れでは正解だったと思えたが、直線では3着馬との競り合いも制しており、勝ち馬の強襲に遭っての2着も仕方のない結果だ。

 3着ウィクトーリアは、課題のスタートを決めてスムーズに流れに乗り、勝負どころから動いて勝ちに行く形。こういう競馬ができたこと自体が、結果以上に大きな収穫となったように思う。

 4着シゲルピンクダイヤは、今までにない好位での立ち回りで、直線でもよく食い下がっていたが、やはりジックリと脚を溜めて運んだ方がいい馬ではないだろうか。

 5着メイショウショウブは、スタート直後こそ枠なりにハナに立つシーンもあったが、無理せず控えて脚を溜める策。こういう競馬を覚えて行けば、距離の融通も利きそうだ。

 スイープセレリタスは、序盤のスローな流れで掛かり気味にハナに立ってしまう誤算があったとはいえ、やはり1800mは少し距離が長いか。シャドウディーヴァは、好位でスムーズに流れに乗れていたようには見えたが、直線では全く反応しなかった。序盤で少し力んだ分とも言えそうだが、ここまで負けたのならそれ以外にも敗因がありそうだ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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