余裕の逃げ切りエイシンヒカリ 充実一途ラブリーデイ 盾はどっちだ?

【佐藤直文 先週のレース回顧】
先週は東西で天皇賞(秋)の前哨戦が行われたが、毎日王冠はエイシンヒカリが、京都大賞典はラブリーデイが、ともに単勝1番人気の支持に応えての快勝。3週後の決戦に向けて、上々の秋緒戦となった。

佐藤直文 レース回顧
サウジアラビアRC毎日王冠京都大賞典

このペースなら逃げ切って当然 エイシンヒカリ 【毎日王冠】

 前半600m通過が35.9で1000m通過が59.9というラップは、春のエプソムCの35.6-59.2よりも遅かった。豪華メンバーが揃っていたのだから、もっと速くなるかという予測もあったのだが、これだけスムーズに自分の形で運べたなら、エイシンヒカリが逃げ切って当然だった。ただ、春よりも馬体やフットワークは良くなっていたし、坂を上がってから悪い癖も見せずに後続を突き放したあたりに成長が窺えたことも確かだ。本番の天皇賞は、今回以上の人気も予想されるが、さすがに今回以上の流れになるはず。というか、誰かが首に鈴を付けにいかねばならないだろう。ペースアップにどう対応できるかが鍵となる。

エイシンヒカリ

スムーズな逃げで後続を完封したエイシンヒカリ(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ディサイファは、そのエプソムC3着から着順を上げたものの、エイシンとの差は詰められなかった形。前走の札幌記念で積極策が功を奏しただけに、欲を言えばもう一列前で運んで、エイシンに馬体を併せるシーンが見たかった。

 3着イスラボニータは、直線の坂を上がったところではそのまま突き抜けそうな手応えだったが、そこから伸びそうで伸びず、最後は2着馬にも交わされてしまった形。ただ、ひと伸び欠いたのは久々の分と見て良く、復活の兆しは十分に窺えるレースぶりだった。

 最終的には2番人気となったアンビシャスだが、最後方からでは届かない流れで、出遅れが全てと言えるだろう。直線で外へ持ち出してからの伸びは際立っていただけに、流れに乗って運ぶことができていれば、悪くとも馬券対象にはなっていたのではないか。

 ヴァンセンヌは、スタートから出して行く作戦。それはそれで悪くないと思うのだが、ハミをガッチリ噛んでしまい、横山典騎手が抑え込むのに苦労しながらの追走となってしまった。距離に関しては問題ないと思えるし、スムーズに折り合えなかった今日の一戦で大きく評価を下げることはできない。スピルバーグは流れが向かなかったとはいえ、直線でエンジンもかからなかった。昨年はここで僅差3着から本番を制したが、今回の走りを見る限り、激変までは厳しいのではないかと思う。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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