ダノンには気懸かりな中山の馬場 「一戦余計」なタワー陣営は…

悲願のＧI制覇目指す有力２頭の評価は？

デスク「春の高松宮記念の上位馬に、サマーシリーズの活躍馬も勢揃いして好メンバーとなった秋ＧI開幕戦だが、東西の本紙担当の◎はダノンスマッシュで一致したな」

武井「ダノンスマッシュは、高松宮記念以前の重賞連勝がいずれも内枠を利してロスなく立ち回ったもので、今考えてみると相手関係にも恵まれた感がありました。対して全く違う競馬を強いられた高松宮記念の敗戦も仕方なかったと言えますが、外からねじ伏せる形での完勝だった前走のキーンランドＣは、着実な地力強化を示す内容でした。もともと内目を捌くことには長けた馬ですから、今回の枠も大きなプラス材料となりますし、待望のＧI制覇に手が届くと見ます」

須藤「何と言っても、最大のライバルとなりそうなタワーオブロンドンを前走で完封していることが◎に推す最大の理由ですね。そのタワーの前走も強かったですが、ここを狙うには一戦余計だった気もしますよ」

小野智「ダノンスマッシュのキーンランドＣは、外々を回ってのものですから、着差以上の強さだったといえますし、全６勝をマークしている右回りなら軸としての信頼度は高いですね」

小桧山「敗れた高松宮記念にしても、上位３頭はいずれも枠なりに内を通った馬たちだったし、外を回っての１馬身差なら負けて強しと言えるんじゃないかな。函館スプリントＳで除外になったことも、逆にゆったりとしたローテーションになり、本番前に一叩きできたことでプラスに働きそうだぞ」

大江原「予定していた函館スプリントＳを使えなかったことで、ダノンスマッシュの調整に狂いが生じたことは確かだろうけど、少なくとも完勝したキーンランドＣよりも状態面での上積みがあると見ていいだろうな」

デスク「ただ、ローテーションが狂った影響がないとは言えないだろうし、中山コースが初めてとなる点など、ツッコミどころはある馬だと思うんだが」

細川「予定を変えることになったとはいえ、状態面に問題があったためでのものではないですし、前走の勝ちっぷりを見ても大きな影響はなかったと言えますよ。父のロードカナロアもまた同じ安田隆厩舎の管理馬でしたが、ここまでは同じような成長曲線を描いており、父同様に“長く活躍できる馬になってほしい”との期待もあるようです。その父も、初めてＧIを勝ったのが４歳時のこのレースで、しかも中山１２００ｍは初めてでしたからね。コースも克服できるはずです」

ひと叩きした上積みも大きそうなダノンスマッシュ（撮影：日刊ゲンダイ）

佐藤直「今の中山の馬場とメンバーを考えると、雨さえ降らなければそのロードカナロア以来となる１分６秒台の決着になると思うんだ。前半３ハロンが３２秒台後半、後半３ハロンが３４秒台半ば、というラップ構成で、差して勝負になるには最低でも上がり３４秒台前半の脚が必要だろう。ダノンスマッシュには、そういった前傾ラップの経験が少ない点が気懸かりなんだよ」

デスク「逆に、そういう競馬に対応できると踏んで、◎タワーオブロンドンとしたわけだな」

佐藤直「前走のセントウルＳでは、いかに展開が向いたとはいえ、１２００ｍ戦での３馬身という差はとてつもなく大きいからな。ダノンに屈したキーンランドＣの時点では距離経験の差もあったと思うし、あれで勝負付けが済んだとは言わせないぞ」

山崎「ペースについては僕も直さんと全く同感で、おそらくモズスーパーフレアが３２秒台で飛ばす展開になると思いますね。となると、勝った時の最速が１分８秒０のダノンよりも、タワーオブロンドンを信頼すべきでしょう。ノーステッキでレコード勝ちした前走でのパワフルな走りを見ても、坂のあるコースで持ち味が生きる印象も受けます」

デスク「さっき須藤が言っていた“一戦、余計だった”という点はどうなのかな。サマーシリーズを３戦消化してここを勝った例はないし、本番のスプリンターズＳは回避してしまったグランアレグリアに任せてサマースプリント王者を獲りに行く、という話は、前走時でも出たと思うんだが」

馬場「当然、そこはポイントとなるでしょうが、“タイトな日程になるがこの中間も順調で疲労感はなく、歩様も極端に硬くなったりはしていない。むしろ使いつつ上向きの感じがあるし、馬体も前走以上に引き締まっている”と、陣営からは不安な声など聞こえてきませんでしたよ。“時計決着も望むところ”とのことで、敵は雨かとも思っていたんですが、何とか天気ももちそうですし、期待できますね」