勝ち馬の未来は名マイラー? 3着レッドベルオーブは「惜しまれる」

佐藤直文 レース回顧
朝日杯フューチュリティS

未勝利勝ちから一気に頂点へ グレナディアガーズ

 二の脚を効かせたモントライゼが外から一気にハナを奪って、前半3ハロン通過の時点で後続に5馬身ほどの差。その通過ラップ33秒7、半マイル45秒2は、阪神移設後の7年間で最も速い数字であった。レッドベルオーブが連続開催の2週目にマークしたレコードを、開催7週目の荒れた馬場でコンマ1秒更新する決着となったのも、ひとえにこのハイペースがもたらしたものであろう。

 そんなペースを味方に付けたのがグレナディアガーズ。折り合いに課題を残す馬だったが、前が飛ばしたことで好位をスムーズに立ち回ることができた。ただ、勝負どころから前を追って行き、ラスト1ハロンで先頭に立って後続の追撃を封じたのだから、これは能力も相当なレベルにあったということだ。前述したとおり、レコードはハイペースに乗じてのものだが、今後の成長次第ではマイル路線を牽引する存在となるだろう。

グレナディアガーズ

力強く抜け出した7番人気グレナディアガーズがタイトル獲得

 2着ステラヴェローチェは、ハイペースに加え自身初めての良馬場での競馬だったこともあり、道中は中団のインを追走する形だったが、直線で進路を探しながらなかなかの伸びを見せた。速い時計の決着に対応できたことで、これまた来年が楽しみなる走りであった。

 3着レッドベルオーブは、序盤で頭を上げる仕草も見せただけに折り合い重視で運んだのは仕方なかったが、勝負どころで前にいた勝ち馬が仕掛けたところでも、それを追う気配がなかったのが惜しまれる。福永騎手もレース後に悔いるコメントを出していたが、勝ち馬を追って進出する形であったなら、結果も変わっていたかもしれない。ただ、過去3戦で全て上がり最速をマークしていたとはいえ、2着馬には完全にキレ負けした形。このあたりは、前走レコード駆けの反動が少なからずあったのかもしれない。

 4着バスラットレオンは、ハイペースの中を好位で流れに乗り、直線を向いて勝ち馬に突き放されてからも渋太く粘ったもの。マイルは今回が初めてであったが、やはり持ち味は距離が延びて生きそうなタイプだ。

 5着ブルースピリットは、離れた2番手でハナを切っているのと同じ形の競馬だったが、勝ち馬に早めに来られながらも、これまた渋太さを見せた。この距離に対応できたという点でも大きな収穫があっただろう。

 ホウオウアマゾンは、好位に控えて流れに乗る形だったが、直線を向いてほとんど反応できなかったもの。現状ではそこまでキレる馬ではないだけに、行ってこそなのだろうが、これまた前走の反動が出たかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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