【七夕賞回顧】セイウンハーデス完勝も「意外なペース」が生んだ“ヒモ荒れ劇”

佐藤直文 レース回顧
七夕賞

好位楽抜の横綱相撲 完全本格化セイウンハーデスが更に上のステージへ

 逃げ・先行馬が揃い、戦前は淀みない流れも予想されたが、蓋を開けてみれば隊列も早々と定まって、前半1000m通過は60秒7のスローペース。先行勢や道中で内をロスなく立ち回った馬が上位を占めた一方で、勝負どころから外を回って追い上げた馬にはノーチャンスの競馬となった。

 セイウンハーデスは、先行争いが激化しなかったこともあってか、外枠からでも楽に好位に取り付くことができたが、抜群の手応えで4コーナーを回って先頭に立つと、気を抜くシーンもなく最後までしっかりと脚を伸ばしての完勝だった。小回り向きの器用さを改めてアピールした形だが、3歳時からレースぶりも格段に進歩を見せての完全本格化であり、更に上のステージでも期待が持てる走りだった。

セイウンハーデス

充実のレースぶりで重賞初制覇をあげたセイウンハーデス

 2着ククナは、内枠を利して好位のインに収まり、流れに乗って完璧とも言える立ち回り。近走では長めの距離を使われていたが、本質的には1800mがベストと思える馬であり、巧く立ち回ったことで2000mもこなしたと見るべきだろう。

 3着ホウオウエミーズもまた、枠順を利してインをロスなく立ち回った形。道中こそ中団だったが4コーナーでは労せずして前を射程圏に入れての好走だった。

 4着バトルボーンは、前述したようにペースとしては楽な逃げだったが、キレ味よりもスピードの持続力で勝負するタイプであり、結果的にはペースを落とし過ぎたとも言える。7ヶ月ぶりだったことも考慮すれば、大きく評価を落とすべきではないだろう。

 エヒトは、勝った昨年より4キロ重いハンデ。加えて1000m通過が昨年よりも2秒以上遅い流れではハマらなかったのも仕方はない。フェーングロッテンは、テンから行きっぷりが悪く、ブリンカー着用以降では中距離で初めての大敗となったが、体調面で何かあったとしか思えない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。