今週は好メンバーが揃った札幌記念に加え、短距離のハンデ重賞北九州記念が行われ、いよいよ夏競馬も佳境に入ってきた感が強い。そんな中、今週に限って唯一重賞のない新潟は少々寂しい感じもするが、その新潟で最近気になることが…。
夏の新潟は2回新潟開催が2週と3回新潟開催が4週の計6週開催。先週までで前半3週を消化し、ちょうど今週からが折り返しとなるが、ここまでの直線競馬(新潟芝直線1000m)で興味深い傾向が見られるのだ。新潟名物であるいわゆる“千直”は外枠有利が定説、であるにもかかわらず、今夏はかなり内枠の馬が上位に来ている印象が強いのでちょっと調べてみた。
ここまで5鞍あった直線競馬の1~3着馬の枠は
~2回新潟~ 1着・2着・3着
1日目12R 2枠・7枠・5枠
2日目11R 2枠・5枠・1枠
4日目10R 8枠・1枠・8枠
~3回新潟~
1日目11R 3枠・7枠・5枠
2日目7R 8枠・3枠・6枠
かなり内枠の馬が馬券に絡んでいる。
参考として昨年の同時期はどうだったかというと…
~2回新潟~ 1着・2着・3着
1日目12R 8枠・7枠・8枠
2日目11R 8枠・8枠・3枠
4日目9R 7枠・8枠・6枠
~3回新潟~
1日目11R 6枠・6枠・8枠
2日目7R 6枠・2枠・8枠
明らかに外枠が有利だった。
今年は開催中にほとんど雨が降らなかったことで馬場の傷みの進行が遅いことも理由の一つかもしれない、と個人的には思っているのだが、やはりその辺りはスペシャリストに話を聞きたいところ。現役時代は“千直といえばこの騎手”だった西田雄一郎調教師に見解を求めると…。
直線競馬のレースの組み立て方について語る西田雄一郎調教師
西田調教師「たしかに馬場状態が良い、というのもあるかもしれません。先週、馬場を歩いてみたのですが、外側のコンディションが良いのはもちろん、真ん中辺りも同じく良かったですからね。ただ、馬のメンタルとジョッキーというのも大きいと思います」
西田雄一郎元騎手とのコンビで千直2勝を挙げたピカピカ
「とにかくスタートしてから前に馬を置くなどして、どこかでタメを作らせることが大事。そのためには少し出遅れさせてもいい位なんです。内枠からでもその形で徐々に外目に持ち出し、最後に脚を使うことができれば理想的ですね。その辺が上手くできるジョッキーなら、いい結果を出せるのではないかと。例えば先週土曜メインの津村(※稲妻S・1着マイヨアポア騎乗)は完璧だったと思いますよ。2着の菜七子も凄く上手に乗っていたけれど、それ以上に津村が上手に乗っていた、ということでしょう。“直線競馬はジョッキーに注目する”というのも面白いかもしれません」
稲妻Sは、千直3戦無敗の母を持つマイヨアポアが完勝!
たしかにオッズを見ると、我々は“外枠有利”という固定概念にとらわれすぎなのかもしれない。直線競馬に実績がある馬でも内枠に入ると軽視されがちだが、それを上手く導ける鞍上ならむしろ買い。配当的にも妙味十分なら敢えての逆張りという手もアリだろう。