優馬編集長日誌 6月9日号「新馬戦で上がり32秒9」
気になった新馬戦
先週から来年のクラシックに向けての2歳戦が始まった。気になる馬がいたので、ここで触れておこう。4日の東京5Rに出走していたブレスジャーニーがそれ。着順は3着だったが、上がり3Fは32秒9。この数字に目が留まった次第だ。紙面の私の印は◎。その日の推奨馬でもあったので注目してレースを観戦していたのだが、スタートが一息だったこともあって安全騎乗。敗れはしたが、直線での伸びは際立っていた。
上がり3F32秒9に目が留まったのは、2歳新馬戦での上がり3F32秒台は滅多に見られない数字と思ったからだ。平成以降の記録で調べてみたところ、2歳の新馬戦において上がり3F33秒を切った馬は34頭いた。これだけ見ると、結構いるではないかとも感じるだろう。だが、このうち12頭は新潟の直線競馬。そして19頭は新潟芝の外回り。これらは “上がり3Fの部分が全て直線” のコースなので例外と考えると、残るはブレスジャーニーを含めて3頭しかいない。つまり、コーナーも含めた上がり3Fにおいて、2歳新馬戦で33秒を切った馬は3頭しかいないのだ(平成以降の記録)。私が計算しているUK値は、いい意味で普通ではない数値を高UK値としている。ブレスジャーニーの新馬戦は上がり32秒台というだけでなく、2番目に速かった馬が34秒0であり、他馬との落差も激しい。文句なしの高UK値だ。
ブレスジャーニーを除いて、新潟コース以外で上がり3F32秒台をマークした2頭は、その後 どうだったのか。まずは2011年(10月・東京)のサトノグロリアス。実は この馬、その新馬戦は勝ったのだが、その後は4、16、15着で引退している。”おいおい、ダメじゃないか” なのだが、新馬戦を勝った後は1年以上も休養(理由は骨折)、その1年以上も休養した後のレースが4着で、またまた半年近い休養を経て16着、そして15着で引退なのだから、結果を出せなかったのは能力や素質の問題ではないところにあると考えられそうだ。
もう一頭は2012年(6月・阪神)のラウンドワールド。この馬は上がり32秒9で新馬戦3着の後、未勝利戦1着→2歳OP特別1着。その後も2~3歳の重賞で2、6、4着と善戦した後に、古馬のOP特別を勝っている。だが、この古馬OP特別勝ちは9ヶ月の休養明け直後の勝利(休養の理由は筋肉疲労)。9ヶ月ぶりのレースを勝って素質の高さは示したものの、その後は勝てずに引退となった。能力は示したともいえるが、サトノグロリアスと同様に休養を境に調子が狂ったという印象が…。結果的に重賞馬にはなれなかった。
新馬初戦の上がり32秒台は、キレすぎるが故にリスクも伴うのか。ブレスジャーニーには不吉なことをいうようだが、32秒9に気づいてしまったのだから申し訳ないという他ない。とにかく、無事を願う。
ブレスジャーニーの父バトルプランからは まだJRA重賞を勝った産駒は出ていないが、バトルプランの父はエンパイアメーカー、母の父がシーキングザゴールド。バトルプラン自身がミスタープロスペクターの4×3の配合と、今後の活躍を期待したくなる血統でもある。
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