サトノダイヤモンドの「デキ」に賛否両論 本紙中邑はワーザー◎

上半期の総決算となる“サマーグランプリ”宝塚記念。ファン投票1位で選出され、ここでの復活を期すサトノダイヤモンドに、キセキ、ヴィブロス、そして昨年の覇者サトノクラウンといったGIホースが顔を揃えたが、加えて久々の外国馬参戦となる香港のワーザーも。果たして優馬TM陣は、どのようなジャッジを下すのか。

優馬TM座談会
宝塚記念

堂々のファン投票第1位 復活成るかサトノダイヤモンド

デスク「ファン投票が形骸化しているとはいえ、丸一年以上も勝ち星がないサトノダイヤモンドが1位の票を集めたあたり、復活を願うファンも多いということだな」

桜井「なんだかんだで、サトノダイヤモンドの実績が最上位であることに疑いの余地はないでしょう。捲土重来を期して調整も意欲的ですし、スムーズな競馬さえできれば、ファンの願いも叶うと思いますよ」

「僕は、毎週日曜の坂路で定点観測をしてますが、5月末の時点では息遣いが悪く馬体も太く映りました。6月に入っても、3日、10日と印象は上がりませんでしたが、17日になってようやく悪くないぞ、と思いましたね。一週前にコースで追ったことにより、何らかの変化がもたらされたと見ていいですし、このデキならあとは鞍上が何とかしてくれるはずです」

田崎「ただ、本当にいい頃と比較すると、まだまだかな、という印象も受けますね。この中間はチークピーシーズを着用して、3頭併せの真ん中で追い切るなど、陣営も策を講じてはいますが…」

デスク「前走なんかも、色々と敗因はあるんだろうが、あれほど負ける馬ではないよな」

須藤「スワーヴリチャードの急成長もあって、現時点でサトノダイヤモンドが抜きん出た存在ではないんですから、うまく噛み合わなければ前走くらい負けても仕方ないでしょう。ただ、敗因はあるのに、前走だけで“デキが良くない”と判断するのはどうかと思うんですよ。そもそも本当に調子が悪いのなら、秋まで休養して立て直すはずですし、6年前のオルフェーヴルも今回と同じような雰囲気の中で勝ったことを思い出します」

那谷「最終追い後の共同会見では“直線での反応やフットワークが良かった。状態も大丈夫そうで、凄くいい追い切りができた”と、ルメール騎手から極めて前向きなコメントが飛び出したし、実際に陣営のトーンが上がらなかった金鯱賞や大阪杯に比べて良くなっているのは確かだろうな。田崎君も言っていた追い切りで“闘魂注入”の工夫も実って、“いい頃に近づいてきた”と、普段の追い切りに乗る岩崎助手、池江寿調教師ともに口を揃えていたよ」

デスク「にもかからわず、那谷の印は▲じゃないか。どういうこっちゃ?」

那谷「ジョッキーと陣営の間で微妙に取材の感触が違って、判断も難しいんだけど、7分くらいしかなかった金鯱賞や大阪杯に比べて、最低でも8分以上、あるいは9分近くまで戻ってきているかもしれない。ただ、それでもGIを勝つにはちょっと足りない気がするんだ。メンバーを見渡すと馬券圏内は確保してくれるのではないか、という期待はあっても、◎までの手応えはないんだよな」

サトノダイヤモンド

復活なるか、ファン投票1位のサトノダイヤモンド(奥)(撮影:日刊ゲンダイ)

武井「僕は同じ復活劇でも、演じるのはキセキの方だと思います。香港ヴァーズはレース後に右前肢の跛行が認められたほどでしたし、日経賞もスローな流れで制御できずにハナに立ってしまったもので、どちらも敗因がハッキリしています。世代トップクラスの力を持ちながら春はクラシックの舞台に立てなかったのは、ひとえに気性に課題があったためであり、その癖を知って菊花賞制覇に導いた鞍上に戻るのは、何より心強い材料ですね」

坂倉キセキの前走は、まだ本調子になかったことも影響したかもしれませんが、菊花賞馬であっても本質は中距離向きだと思いますね。立て直されて能力全開なら、強い世代のクラシックホースであることを改めて誇示できるはずですよ」

瀬古「この中間の放牧で心身ともにリフレッシュできた様子で、同じ休み明けでも前走をはるかに上回るデキですね。数あるお手馬の中からデムーロ騎手がこの馬を選択したという点でも、本来の走りが蘇ると思いますよ」

デスク「ただ、これまたサトノ同様に、敗因があったとはいえ前走が負け過ぎの感も否めないけど」

桜井「精神的に煮詰まっていたのか、前走は道中でムキになって折り合いを欠いた形でしたが、陣営もその反省をふまえて、以前よりもコースで乗る量を増やすなど、落ち着きが出るように調整を工夫しています。調教の動きや普段の雰囲気から、トレセンでは平常心を取り戻せている様子で、少なくとも前走のようなことはないと見ていいのではないでしょうか」

田崎「僕は、仕上りの良さでヴィブロスが一枚上と見ます。1週前の動きなども素晴らしかったですし、重以上での出走歴がないとはいえ、馬場が渋っても能力が削がれないタイプですからね。2200mでも折り合いひとつで勝負になりますよ」

久光「外枠で折り合いを欠いて敗れたエリザベス女王杯から、距離への不安は否めませんが、牡馬相手に渡り合えるのは世界の舞台で証明済みですからね。上位争いには絡んでくると思いますよ」

瀬古ヴィブロスは、2年連続でドバイターフを好走しましたが“向こうにいる時は馬が凄く落ち着いていて馬房での雰囲気が違う。よほどドバイの環境が合うんだろうし、だから遠征してもダメージが残らないんだ”と、友道師も話してましたよ。当然、“ドバイの時と同じ平常心で臨めば、牡馬相手のGIでも”と、力が入ってましたね」

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