エタリオウに「まいった」の声　フィエールマンを今度は逆に…

逆転候補もまた　菊出走の４歳勢

デスク「ところで本紙須藤は、菊花賞３着馬ユーキャンスマイルに◎を打ってきたわけだが、上位２頭に付けられた１馬身半の差が決定的ではないと見ているわけだな」

須藤「今回が菊花賞の再戦と言える組み合わせになったことは、皆さんと全くの同感です。ただ、同世代対決の菊花賞よりも、経験豊富な古馬が混じる天皇賞の方がペースも速くなり、よりステイヤーとしての資質が要求されると思うんです。ユーキャンスマイルは、菊花賞後も３０００ｍ以上のレースを２戦してスタミナとキレ味を磨いてきましたし、当時の差も逆転できると判断しました」

久光「確かに菊花賞後のレースぶりを比較すると、得意の瞬発力勝負で勝ち損ねたフィエールマン、相変わらずのエタリオウと比べて、ダイヤモンドＳで今までにない操縦性と末脚を見せたユーキャンスマイルには伸びしろを感じましたね。調教で、今までで最も密に積めている点にも注目したいです」

那谷「それぞれに成長を示しているとは思うけど、ここに来ての目を見張る馬体の充実ぶりではユーキャンスマイルの右に出る馬はいないよ。キングカメハメハ産駒がこのレースで延べ１３頭出走して一度も馬券に絡んでいない、というデータは気にならない訳でもないけど、長距離におけるあのキレ味は母父のダンスインザダークを彷彿とさせるからな。純粋な能力比較はともかくして、ステイヤーとしての資質はこの馬が一番。そこに賭けてみたいんだ」

加茂「あと、昨年、それまでＧIではあと一歩足りなかったレインボーラインを勝利に導いた鞍上の腕も、見逃せないんとちゃうか」

広田「ユーキャンスマイルは、心身ともに大人になってきたようで、以前のようにモタれることもなくなってます。ハンデ戦だったとはいえ、前走も完勝と言える内容でしたし、とにかく折り合いの心配もないですからね。陣営の希望通り、良馬場で競馬ができれば、十分チャンスはあるはずですよ」

シャケトラと同じ金子真人オーナーの持ち馬ユーキャンスマイル(左)（撮影：日刊ゲンダイ）

瀬古「同じ菊花賞組ですが、僕は５着のグローリーヴェイズにも逆転の目があると思います。不利な大外枠での距離ロスを考えれば、着差ほどの力差もないはずですよ」

板子「加えて、菊花賞では少し消極的な運びだったように思います。本質は中距離型でしょうが、自ら動く形なら能力でカバーする可能性もありますね」

坂倉「グローリーヴェイズは、２歳時に中京の直線で伸びを欠く面をみせたことから、以降は一貫して直線平坦のコースを使われ続けているんですが、前走の日経新春杯は同じ直線平坦でもかなりタフな競馬になり、そこをキッチリ勝ち切ったことに地力強化が窺えましたね。“その後に脚元に疲れも出たが、牧場でしっかりとケアをして、入厩してからの調整もうまくいった”と、尾関師は仕上げに手応えを感じている様子でしたし、“最終追いで跨いだ戸崎圭騎手も褒めてくれた操縦性の良さを生かして何とか”という師の言葉通りに、頑張ってくれるんじゃないかと期待しています」

持木「僕はメイショウテッコンを。菊花賞こそスムーズな競馬ができずに不本意な結果に終わりましたが、ラジオＮＩＫＫＥＩ賞でフィエールマンを、そして前走でエタリオウを封じた力を見直したいです。ペース云々よりもモマれず気分良く運べば力を発揮できる馬ですが、ヴォージュが万葉Ｓの時のように離して逃げる手に出るなら、理想の形になるのではないでしょうか」

西田「メイショウテッコンの日経賞は、自分のリズムで運んだ上でスローペースという展開の利があったことは確かですが、この馬もまた本番を見据えた余裕の仕上げだったことを考えれば、価値があります。正直、菊花賞の上位組は力も拮抗していて、もう一度走れば着順も変わるのではないかと思うんですが、自分の型にハマった時の強さでは、この馬が一歩リードしているのではないかと」

細川「木曜に最終追いというのは予定通りだったんですが、実は変な気負いが出ないように厩舎スタッフが乗る予定。ところが、先週乗った福永騎手が“今週も乗せて下さい”と申し出て乗ることになったそうです。その追い切り後も陣営のイメージ通りの状態で問題はないようですし、３歳時に素質だけで重賞を勝ったとはいえ、ここにきて本格化しつつあるのは間違いのないところでしょう。本当に良くなるのはまだ先でも、現状で好勝負になる可能性はありますね」