記者席どよめかせた韋駄天が目指す「17年ぶり」 ライバルはまさかの…

千直２戦２勝のライオンボス　枠も追い風で軸は不動？

デスク「５月の新潟開催にオープン特別の韋駄天Ｓが新設された２０１４年以降の５年間で、３歳馬を除いた馬券対象馬１２頭中、なんと９頭までが韋駄天Ｓに出走して、なおかつ好走していた馬。他場に設定のない直線１０００ｍ戦とはいえ、ハッキリとした傾向が出ているよな」

武井「今年も素直に韋駄天Ｓの勝ち馬ライオンボスを中心視すべきでしょう。被されるとモロいところがあり、控える競馬では全くダメな馬でしたが、チークピーシーズを着用して直線競馬へ、という策がまんまと当たりましたね。その２走前はスピードの違いでの圧勝でしたが、前走ではスタート後に両サイドから寄られる形を克服しての勝利で、精神面での成長も示した格好です。奥のある勝ちっぷりから斤量増も何ら問題はないでしょう」

守屋「ライオンボスは、前走ももちろん強かったですが、やはり２走前の勝ちっぷりは衝撃的でしたね。ダッシュ良くゲートを飛び出すと真っ先に外ラチ沿いに行き、残り２００メートルからの加速で一気に後続を５馬身のぶっちぎり。３枠５番という内目の枠で、５３キロとはいえ５４秒１の好時計にもビックリしました。当時は東京競馬場の記者席でのモニター観戦だったんですが、記者席のどよめき、ザワつきは未だに記憶に新しいですからね。ここはカルストンライトオが持つレコードを１７年ぶりに塗り替える快走を期待したいです」

佐藤直「千直のスペシャリストとして必要な資質の一つに、最初の２ハロンの速さ、目安としては２２秒を切るラップが求められるんだけど、韋駄天Ｓでは２１秒７での逃げ切りだから、かなり優秀な数字だよ。もちろん３キロの斤量増は鍵となるけど、５３０キロ台の大型馬なら、大丈夫と判断していいだろうな」

デスク「陣営にとっても、ここは狙い澄ました一戦なんだろうな」

小野智「今回はリフレッシュ放牧明けとなりますが、“追い切りはテンを抑えて終いを生かすように行い、ゴールを抜けてからも負荷をかけましたが、大変よくできました”と、和田郎師も満足のいく仕上げのようです。そして“たとえ内枠を引いたとしても、開幕週の馬場なら大丈夫でしょう”とも言ってたんですが、ライバルと思える馬たちが全て内枠に入ったのなら鬼に金棒でしょうね。主役の座に揺るぎはないと思いますよ」

圧巻の走りで千直連勝中のライオンボス(右)（撮影：日刊ゲンダイ）

デスク「一方で、その内枠を引いてしまったライバルたちだが」

大江原「俺は昨年の覇者ダイメイプリンセスを見直すぞ。その昨年勝ちを含めて直線競馬は３戦３勝の申し子だし、内容に復調が窺えた前走から一息入れての臨戦になるけど、好時計をマークしている中間の調教から、体調も整っていると言えるんじゃないかな」

坂倉「今年は春先から冴えない競馬が続いてましたが、昨年はスプリンターズＳでも４着と善戦したように、ここでは実績的に抜けた存在ですよね。６歳牝馬ということで能力的にピークは過ぎているかもしれませんが、全くの完勝だった昨年の内容からも、この条件ならまだやれると思います」

デスク「昨年は、２着もラブカンプーで“親子丼”となった森田厩舎だけど、今年も当然狙っているんだろ？」

細川「そうですね、と言いたいところなんですが、ダイメイプリンセスについては“素晴らしかった昨年の仕上りには遠く及ばない”と、意外と弱気なんですよ。“有利な外枠でも当たれば”とも言っていたんですが、この枠では厳しいでしょうね。同じことがラブカンプーにも言えるんですけど、まさか２頭揃って１枠に入るとは…」

西田「私は函館スプリントＳで重賞初制覇を果たしたカイザーメランジェのもう一丁に期待します。その前走は、まだ良化の余地を残しているという陣営の評価もあった中での勝利で、有力馬を含む７頭除外の恩恵もあったとはいえ、本格化を迎えたことも結果に繋がったと言えます。初の直線競馬だった２走前は積極的に運んだことで終いが甘くなってしまいましたが、元々はタメを利かせる競馬が合っている馬で、江田照騎手も“そのあたりは考えて乗る”とのことでしたよ」

デスク「この馬は、前走後に短期放牧を挟んで函館に残って調整されていたんだよな」

板子「状態や輸送に関しては、短期放牧明けでも充実していて、輸送慣れもしていることから陣営からは不安材料は聞こえてきませんでしたよ。ここは当初の青写真通りの参戦で、今回の結果次第ではキーンランドＣも視野に入れており、サマースプリントシリーズを強く意識したローテーション。前走は確かに恵まれたところがあったので、ここで真価を問われることになりますが、江田照騎手がどのような戦法を取るかは見ものですね」