デムーロの表情に曇りも…　ラヴズオンリーユーは「計り知れない」

迎え撃つ古馬勢　本紙須藤はラッキーライラックを◎に指名

須藤「もちろん３歳のＧI馬２頭には一目置かざるを得ませんが、ラヴズはぶっつけ、クロノも前走が大目標だった感を受けますし、超高速決着の続いた今春の東京の時計だけで世代間の比較をするのもどうかとは思うんですよ。ならば、◎は古馬代表格のラッキーライラック。アーモンドアイの登場で影が薄くなりましたが、２歳ＧIを含め無傷で桜花賞まで駒を進めた実力馬です。その後は勝ち星に恵まれてはいませんが、内容的には強い競馬をしていて、成長が止まったわけではないですよ。立ち回り自体は上手な馬なので、絶好枠を引いて、あとは抜け出すタイミングひとつなのではないでしょうか」

坂倉「前走の府中牝馬Ｓなども、差し追込馬に有利な流れを正攻法の競馬で一旦は抜け出すシーンがありましたからね。久々でプラス１６キロの太目残りも影響したと思われる中でのコンマ３秒差３着は、全く悲観する内容ではないですよ」

小野智「最後は目標にされた分だったですし、本当に負けて強しの内容でしたよ。全４勝がマイル戦という馬ですが、今なら距離はもっとあっていいタイプだと思うので、ここで改めて期待したいですね」

佐藤直「加えて言うなら、ラッキーライラックの前走は、大外枠から巧くタメが利かずにハイラップを追走してのものだけに、これは１・２着馬よりも強い競馬だったと言えるぞ。今年の府中牝馬Ｓ自体が、稍重ながら昨年の決着タイムを上回ったわけだし、その昨年の１・２着馬がディアドラとリスグラシューなら、強い３歳勢を封じるレベルと考えていいんじゃないかな」

市場「僕も、先ほど須藤さんも言われたように、けっしてラッキーライラックの力が衰えたわけではないことは、４走前の中山記念のハイパフォーマンスなどが示していると思います。ただ、前走も含めたその後の３戦は、この馬にとっては時計が速すぎたとも言えますし、その点、前開催で雨が続いて良発表でも少し時計がかかっていた先週のような馬場なら、勝負になっていいのではないでしょうか」

那谷「京都外回りの２２００ｍという舞台は、キレ味が問われるイメージもあるんだけど、近年は良馬場でもレースの上がりは３４秒台前半止まりだし、キレよりも持続する脚が問われるレースなんだよ。ラッキーライラックは、この舞台設定にピッタリの馬だし、キレ味の差で屈した府中牝馬Ｓの上位２頭を逆転するのもそう難しくはないはず。加えて、２週前のＣウッドで６Ｆ７８秒２の自己ベストをマークしたほどの状態面での上積みと、何よりスミヨン騎乗も心強いぞ」

スミヨン騎手との新コンビにも注目が集まるラッキーライラック(奥)（撮影：日刊ゲンダイ）

小桧山「俺はスカーレットカラーの府中牝馬Ｓ勝ちの内容を素直に評価するべきだと思うぞ。３歳時には影も踏めなかったラッキーライラックに同斤量でコンマ３秒の差を付けたのは成長の証だし、２走前のクイーンＳもコーナー４つの小回りで前有利の流れだったことを考えれば、よくあそこまで追い込んだと言える２着だったからな。データ上でも、過去１０年で５勝の４歳馬、息の合う鞍上が過去１０年で２着４回とコースを熟知していることも追い風だよ」

板子「僕もスカーレットカラーの府中牝馬Ｓでのパフォーマンスは圧巻だったと思います。道中はリズム重視の立ち回りで自然と後方。直線に向いて前のスペースが開くまでじっと構えていましたが、ゴーサインを出されてからの反応が速く、坂上からもう一伸びしての差し切り勝ちで、着差以上に他馬との力量差が表れたような印象を受けましたね」

吉田「先行タイプではないとはいえ、以前のスカーレットカラーはもっとスピードが勝っている印象がありましたが、３走前からは明らかに馬が変わって、前走などもテンから気合いを付けてもあの位置でしたからね。今回もおそらく後方からジックリ、になるでしょうが、京都外回りなら直線一気もハマりやすいですし、未経験の距離でも割り引く必要はないと思います」

持木「ここ２走の上がりはともにメンバー最速、しかも３３秒台前半と、完全本格化に疑いの余地もありませんね。差しが決まりやすい今の馬場傾向にもマッチしているので、狙い目でしょう」

瀬古「高橋亮師も“厩舎の実績では見劣るけど馬は成長してくれているし、ここでひとつ階段を昇れたら、と思っている”と、意気込みを語っていましたが、開業して初めてのＧIタイトルへ、機は熟したと言えそうですね」