2018年の幕開けも武豊&ブラック 大外一気にブラックムーン

佐藤直文 レース回顧
京都金杯

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天才ならではの鮮やかな騎乗ぶり ブラックムーン

 半マイル通過が46秒8とそれほど速かったわけではないが、スタートから2ハロン目までの先行争いが激しかったことで、前に行った馬には厳しい流れとなった。マイル戦となった2000年以降で最も遅い1分34秒3の決着タイムは、雨に祟られた昨秋の開催のダメージが残っていると考えるべきで、けっしてレベル云々の問題ではないだろう。

 ブラックムーンは、道中は最後方でデンと構え、勝負どころから外を回って進出する形。この馬の持ち味を最大限に引き出す、武豊騎手ならではの鮮やかな騎乗ぶりだったが、同じように時計のかかる馬場だったマイルCSでもコンマ3秒差6着まで追い上げていたのだから、今日のメンバーで差し切れたのも納得できる。前走のように展開に注文の付くタイプではあるが、仕掛けのタイミング次第ではペースにかかわらず好走できることも示したと言えよう。

ブラックムーン

大外から他馬を一蹴したブラックムーン(緑帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着クルーガーは、最後に馬群を割って脚を伸ばしたのは、今までにはない形で、大きな収穫があったと言える。とにかく順調に使えるかどうかだけが課題の馬だが、そこをクリアできればGI制覇も夢ではないと思う。

 3着レッドアンシェルは、好位を巧く立ち回って直線でも一旦は抜け出すかのシーンもあったが、ペースを考えても上位2頭とは力の差があったと言うしかない。重賞で勝ち切るには、もうワンパンチ必要だろう。

 4着ダノンメジャーは、序盤の先行争いに加わらずに好位に収まったことで、巧く流れを味方に付けた印象。ベストの小回り1800mなら、重賞でもチャンスが訪れるだろう。

 5着ストーミーシーは、自分の競馬に徹してアワヤのシーンを作ったもの。直線が平坦の京都も合っていると感じたが、オープン特別ならいつでも勝てるレベルの力は付けたと言える。

 ラビットランは、中団から本来の脚を見せることなく流れ込んだだけだったが、器用に立ち回ってどうこうの馬ではないのだろう。ローズSのような後方待機策での直線勝負でないと、力を発揮できないのかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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