久光匡治TM・思い出のダービー 1992年第59回『2着馬ライスシャワーに魅せられて…』

【優馬TM 思い出のダービー】
思い出のダービーは、1992年、ミホノブルボンが勝った年である。もちろん、無敗で二冠を制した名馬の走りも素晴らしかったが、それ以上に魅せられたのが、2着馬ライスシャワーの走りだった。

優馬TM 思い出のダービー
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無敗で戴冠ミホノブルボンに真っ向勝負で

 演劇でも何でも、主役がクローズアップされるのは立派な脇役の存在があってこそだと思う。どんな好投手も並み居る強打者を抑えてこそ大エースと呼ばれるようになるのだろうし、最強とされる横綱を倒すからこその金星である。いわゆる引き立て役。美味しい絶品ステーキには、必ず上質な脂や絶妙なソースやスパイスが効いているものだろう。

 1992年の日本ダービーの主役はミホノブルボンだった。名伯楽戸山調教師による坂路の申し子。1日4本というハードトレーニングで距離の壁を超越し、その鍛え上げられた絶対的な能力でそれまで5戦5勝のパーフェクトな戦績を残していた。この日本ダービーも影も踏ませぬ逃げ切りで連勝を伸ばす訳だが、当時13歳の私が魅せられたのは4馬身後ろに離された2着ライスシャワーの走りだった。

 道中から逃げるミホノブルボンをマークするように運んでいたライスシャワー。4コーナーでは並びかけようかという場面もあったが、直線ではミホノブルボンの加速についていけず、並走していた内のマーメイドタバンにもコーナーワークで一旦は前に出られた。しかし、そこから的場騎手のステッキに応えて根性の加速。更に後方から差してきたマヤノペトリュースにも一旦は交わされたのだが、そこからまたまた盛り返して2着を死守してみせたのだ。皐月賞、NHK杯共に8着からの参戦で18頭立ての16番人気。馬連導入初年度の日本ダービーは、圧倒的人気のミホノブルボンが勝ったにも関わらず、このライスシャワーの激走により295倍の大波乱となった。

久光匡治

筆者:


2001年入社。美浦ポリトラック・芝担当の時計班。時計を採る傍ら、想定班としても厩舎取材に出る業界でも稀な二刀流トラックマン。好きな馬券はワイド。現在、グリーンチャンネル『ケイバどーも』に出演中。

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