ダノンキングリー陣営の本音は？ 戸崎圭「大丈夫」萩原師「やってみないと」

連覇を狙うアエロリットの逃げ切りか　ダノンキングリーの差し切りか

デスク「ここはダービー２着のダノンキングリーと、昨年の覇者アエロリットで、ＴＭの◎も二分した形だな」

武井「春のクラシックは勝てなかったダノンキングリーですが、皐月賞、ダービーともにタイム差なし。リオンリオンの大逃げで異例の速い流れとなったダービーでは、正攻法の競馬をして皐月賞で先着を許した２頭を抑えたんですから、着実な進歩を示したと言えます。前向きな気性で、軽快な調教の動きからも仕上りに不安はなく、古馬のＧIホースたちが相手でも、５４キロの有利な斤量を生かして勝ち負けになるはずです」

久光「ダノンキングリーのダービーは、その皐月賞で先着を許した２頭が背後から運んだという点でも、仕掛けが難しいレースでしたし、タイミングひとつで勝てていたと思えますね。よりキレ味を生かせる距離短縮は大歓迎で、春より調教段階からコントロールが利いているあたりにも成長の跡が窺えますね」

馬場「開幕週の馬場は、ポジションを取れるという意味でも有利な材料ですよね。ここは逆らう必要もないでしょう」

小野智「これまで唯一、連を外した皐月賞もタイム差なしで、強かった共同通信杯勝ちの舞台なら何のマイナスもないでしょう。戸崎圭騎手からも“大丈夫です”というコメントも貰っていますし、軸としての信頼に足りる馬だと思います」

デスク「ただ、世代最強レベルの能力に疑いの余地はないとはいえ、今回は相手に上の世代のＧI馬が５頭。しかも、うち４頭はこの東京で勝っている馬だから、ＧIIでも楽な相手ではないんだし、これは他の馬にも共通するとはいえ、目標が先にあっての使い出しなら、ツッコミどころもありそうだけど」

小島「古馬との初対決になる点については、萩原師も“やってみないと”と、慎重な姿勢でしたが、内心では勝ち負けになるというオーラが出てましたね。“２４００ｍは長いと思っていたダービーでも、力で２着に来てくれた”のなら、一番強い競馬をした舞台でもうワンランク上の走りが期待できますし、実際にこの夏の休養で一段とスケールアップした感も受けます。相手はおそらく逃げるアエロリットだと思いますが、ゴール前でキッチリ差してくれるはずです」

人気を集めている３歳馬ダノンキングリー(右)（撮影：日刊ゲンダイ）

佐藤直「さっき久光も言っていたように、ダノンキングリーのダービーは仕掛けどころが難しかったのは確かだけど、淀みないラップを刻んで逃げるアエロリットの逃げだって、好位から捕まえに行く馬にとってはかなり難しいぞ。屋根が替わったとはいえ、昨年のような競馬ができれば、今年も逃げ切れるはずだよ」

大江原「東京の１８００ｍは、アエロリットにとっては持ち前のスピードの持続力を最大限に発揮できる舞台だよ。そもそも開幕週の絶好の馬場なら、並みの馬でも簡単には止まらないんだし、俺も昨年の再現に期待したいな」

坂倉「アエロリットの春２戦を見る限り、勝てなかったとはいえハイラップで持続する脚は健在でしたし、その特性はマイルよりもこの距離でフルに生きますからね」

西田「驚異のレコードを演出したヴィクトリアマイル、そして安田記念と、連続して１分３０秒台で駆けたスピードの絶対値に加え、昨年と同じ斤量で出走できるのなら、まず崩れるシーンは考えにくいですね。もちろんダノンキングリーが強敵となるでしょうが、開幕週の馬場では、より前で競馬ができることがアドバンテージとなるはずです」

守屋「アエロリットは、ＧI勝ちこそ３歳時のＮＨＫマイルＣだけですが、昨年は次走でマイルＣＳを勝ったステルヴィオや、天皇賞とＪＣで好走したキセキを降したわけですから、相当な価値のある勝利だったと言えますよ。その昨年と全く同じローテーションで、違うのは鞍上だけですが、以前ほど乗り難しさがなくなってきて、引っ掛かって暴走することもなくなっているのは、加齢によるものもあると思います。津村騎手は、調教でも跨っているので、初の実戦でもそう問題はないと見ていいでしょう」

デスク「ただ、やっぱり、逃げ馬には目標にされるという宿命があるからな。実際に理想的な逃げが打てていた前走の安田記念だって最後は差されてしまったわけだし…」

小桧山「安田記念については“外枠の方で有力馬たちがゴチャついて恵まれた面もあった。あれがなければ、アーモンドアイに差されて３着だったよ”と菊沢師も話していたよ。ペースについては、さっきも話に挙がっていたように後続になし崩しに脚を使わせる形がベスト。スローに落として瞬発力勝負になると分が悪いからな。昨年のモレイラが刻んだラップを下敷きとして、１０００ｍを５８秒５くらいで飛ばして、あと８００ｍを４６秒０でまとめれば同じ１分４４秒５。そういう理想的な流れを作れば逃げ切れるんじゃないかな」