目標はダービー、そして世界へ　歴史的名牝の血を引くリアルスティール

初黒星も、負けて強し

　そして、クラシックへ向けての最終ステップとなった３月２２日のスプリングステークス（中山・芝１８００ｍ）だが、すでに皐月賞に出走できるだけの賞金があるだけに、初コースで本番の試走の意味合いもあったはずだ。レースでも、スローペースの中で敢えてジックリと押さえ込む形。前が残る流れで、後方から差してきたのはこの馬だけであり、クビ差まで追い詰めての２着は、敗れて強しと言える内容だった。

　その前走について、矢作師はこう語る。

『内容的には本当に強かったし、レースを終えて栗東に戻ってきても体が減っていなかったんだ。負けていいということではないが、（皐月賞の）トライアルとしては最高だったよ』

　鞍上の福永騎手も『新馬を勝った時点で、クラシックを意識できた馬。前走は先を見据えての仕上げで、幾らか体に余裕がありましたね。返し馬の時点でそう感じましたし、勝負どころで反応が鈍かったのはそのためでしょう』と。

　二人とも『あくまでも最大目標はダービー』という共通の認識を持っており、１２月のデビューも、ダービーから逆算すればけっして遅いとは言えない。

　厩舎担当の細川ＴＭが、ＰＯＧ用の話を師に伺った昨春の時点で、この馬の名前が出てきたとのことで、師がそれだけ早い段階から高い目標を掲げていたのだ。