【共同通信杯回顧】“自在”ファントムシーフに対し「幼さ」露呈した3頭

佐藤直文 レース回顧
共同通信杯

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タイム高水準の出世レースを制す ファントムシーフ

 勝ち時計の1分47秒0は、このレースの水準を大きく上回る好タイムではあったが、レースの流れ自体はけっして速くはなく、結果的には逃げた馬と2番手の馬が入れ替わっただけの決着。鋭いキレ味よりも長く使えるいい脚が要求される一戦となった。

 ファントムシーフは、スタートを決めてスッと好位に取り付き、一旦はハナに立つ場面もあったが、出負けした2着馬が来たところで譲る形となった。直線を向いて鞍上がGOサインを出しても即座には反応せず、思いのほか弾けなかったが、後続に並びかけられるシーンもなく、長く脚を使って抜け出したもの。ポジション取りも含めた自在性を生かしての勝利だったが、ハービンジャー産駒だけにもう少し時計のかかる馬場の方がいいタイプだろう。クラシックに向けては理想的なローテーションで臨めるはずだ。

ファントムシーフ

“大人びた振る舞い”で3番人気ファントムシーフが出世レースを制した

 2着タッチウッドは、スタートのタイミングが合わずに出遅れたのが痛かった。すぐに挽回してハナに行くことはできたが、序盤に脚を使ったツケが最後に回ってきてしまった形。ただ、それでも2着を確保したのは能力の成せる業だったろう。

 3着ダノンザタイガーは、追い出されて内へモタれるなど、気性の若さを見せて伸び切れなかった形。このあたりは今後の成長に期待したいところだ。

 4着タスティエーラも、まだ幼い面を残した走りだったが、好スタートを切りながら序盤に2着馬が動いたところで控えたことは、今日の流れでは裏目となった印象も受けた。

 レイベリングは、テンションが高くスタート後に掛かりそうになったことで、鞍上が懸命に宥めて後方から運ぶ形となったが、直線でも全く伸びるシーンはなかった。デビュー2戦のマイルからの距離延長も、けっしてプラスではなかったように思えるが、気性面も含めての立て直しが必要だろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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