改善が進む夏競馬 サマーマイル第2戦・関屋記念は斤量の増減に注目

【優馬編集長日誌】
夏競馬 着々と改善中。大レースがなくても競馬は面白くなる

優馬編集長日誌
関屋記念エルムS

サマーシリーズ 開催中です

 特殊な理由がない限り、JRAの夏競馬は地方開催。首都圏で行われないことやG1レースが行われないことが、売上げや入場人員に影響を及ぼす。ましてや真夏の暑い時期は馬を出走させる側の苦労もあって、出走馬が少なくなることも。出走数の少なさも売り上げなどに影響を及ぼす理由となる。バブルの時期なら真夏の低迷は許されたことなのかもしれないが、景気の停滞やレジャーの多様化によって、今はJRAとしても“まぁいいか”では済まない状況が生まれている。それを打開するためには、夏競馬をもっとファンの方々に楽しんでもらわなくてはいけない。ファンサービスは勿論のこと、競馬そのものを盛り上げるために、厩舎関係者の方々には名の通った馬を出走させてもらえるような環境を整えなくてはならない。その一環として講じられたのが2006年から始まったサマーシリーズなのだろう。

3年前にサマーマイルが誕生、更なる進化を期待

 始まった当初は、夏競馬の1200mの重賞を対象するサマースプリント、2000mの重賞を対象とするサマー2000の2つだった。これは対象レースにおいて着順に応じたポイントを与え、最高ポイントを獲得した馬にはボーナスを出すというもの。これによって夏場も休みなく使ってくれるオープン馬が増え、夏競馬が面白くなってきたように思う。翌年からは騎乗するジョッキーにも、該当する重賞の着順によってポイントを与えるサマージョッキーなるものが誕生した(対象レースやボーナス賞金の額など、詳しくはJRAのホームページに掲載されています)。

 ただ、3年前に1600mの重賞を対象とするサマーマイルができるまでには、最初の段階から6年の月日を要した。無理もない。1600mの重賞は夏競馬の多くを占める札幌、函館、福島、小倉の開催にはない。重賞どころか、競馬場に距離設定すらないので新たな重賞をつくることもできない。したくてもできなかったのだろう。

 短距離馬には1200mの重賞でボーナス獲得のチャンスがある。中距離馬には2000mでチャンスがある。勿論、ジョッキーにも。だが、1600mが適距離のマイラーにはチャンスがないということに3年前まで不公平感を覚えていた人は少なくないのではないか。長距離馬は馬の数も少ないので仕方ないところもあるが、数が揃っているマイル路線で「夏のボーナス権」がないのは可哀そうであった。

 おそらく主催者側も気になってはおられたのだろう。1200mや2000mとに比べて対象レースやボーナスの賞金額は少なくなったものの、2012年からマイル重賞3戦を対象にしたサマーマイルが誕生。あとはダート路線…とも思うが、これは地方との交流レースなどの関係で更に難しいのかもしれない。JRAの夏競馬、ファンサービスのためには検討を重ねていただきたいものだが。

上田一幸

筆者:


1967年、滋賀県生まれ。大学卒業と同時に入社し、一貫して編集畑を歩む。予想も馬券も徹底した穴狙い。この仕事に携わる以上、馬券購入は義務であると考え、入社以来、馬券を休んだ日はない。現『優馬』編集長。

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