武豊モズ「絶妙な逃げ」に対するは、北村友が手の内に入れたダノン

前哨戦快勝の４歳勢が台頭　新スプリント王の座は

デスク「昨年のスプリントＧIを春秋とも制したファインニードルが引退したことで、ここは新しい王者を決める一戦となるわけだが、前哨戦の結果を見る限り、新興勢力の４歳馬が台頭しそうだな」

小桧山「中でも、ダノンスマッシュが頭ひとつ抜けた存在だろうな。１２００ｍ戦に転じてからは底を見せない上昇ぶりで、先行ないし好位からのレース運びも、父ロードカナロアの競馬っぷりに近づいてきた感を受けるよ。この距離での唯一の敗戦となったキーンランドＣにしても、勝ったナックビーナスがモレイラの絶妙なペースの逃げだったことを考えれば、何ら力負けではなかったし、その時も含めて消極的な騎乗も目立つ鞍上も、以降の２戦は手の内に入れて勝ちに行っているからな」

落合「あえてダノンスマッシュの不安点を探すとすれば、左回りで勝っていないという点だけど、いずれもそう大きく負けたわけではないし、そもそも１２００ｍを使い出す前の話。モズスーパーフレアが飛ばす流れも、好位差しのこの馬にはピッタリだろ」

三代川「最近３年の勝ち馬と同じ、シルクロードＳからの臨戦というのも、頼もしいデータですが、その前走は直線で進路を探すシーンがありながらの完勝で、昨年の同じレースを制したファインニードルと同等かそれ以上の力を感じさせてくれましたよ」

デスク「ただ、重賞連勝中とはいえ、ともにＧIIIだからなぁ。相手のレベルも上がるここで、同じパフォーマンスを見せられるかどうか…」

中田「そこは昨年の秋からの成長曲線がハッキリと感じられる点で不安はないと見ます。相手は強くなりますが、この馬の成長も止まってはいないですから」

細川「陣営からも“完成はまだ先”というコメントが出ているように、まだまだ強くなる馬でしょうね。先ほど挙がった左回りの件についても“得意不得意の問題ではない”とのことですし、ここも力でねじ伏せる競馬を期待したいですね」

重賞連勝から一気のビッグタイトル獲得を目指すダノンスマッシュ（撮影：日刊ゲンダイ）

山崎「僕は、モズスーパーフレアのスピードが抜けていると思いますね。特に前走のオーシャンＳは、前半３２秒３の超ハイラップを刻んでそのまま押し切る強い内容でしたし、他馬の陣営も“この馬に付いて行ったら自分が潰れる可能性がある”と思うはずですよ。中京に替わっても、後続に脚を使わせつつ粘り込む絶妙の逃げに持ち込める武豊騎手なら、信頼できます」

広田「前走こそルメール騎手でしたが、無理に抑えず気分良く行かせるスタイルを確立させたのは、過去３戦３勝と抜群の相性を誇る武豊騎手ですからね。圧倒的なスピードを素直に支持したいところです」

中邑「最近５走のうち、中山で自ら速い流れを作って勝った３戦のタイムは、いずれもスプリンターズＳでも勝ち負けになるレベルだと言えます。久々に快速スプリンターが現れたという感を受けますし、ＧIでも押し切れるだけのスピードがあると見ていいでしょう」

板子「モズスーパーフレアについては、中京コースの改修後にこのレースで逃げ切った馬がいないという点が僕は気懸かりですね。これがスプリンターズＳならスピード上位を素直に信頼する手でしょうが、今回の舞台では割り引きが必要かと思います」

デスク「実際に中京では、過去２戦して８着と５着なんだよな」

瀬古「それについては、“ともに１４００ｍ戦だし、当時よりも力を付けている”と、音無師も不安視してませんでしたが、気になるのは全６勝を滞在と遠征競馬で挙げている点で、今回と同じ当日輸送では結果が出ていないんですよ。久々の当日輸送だった４走前も体重が減ってパドックでも気負いが目立っていましたからね」

デスク「それでも、瀬古は◎モズスーパーフレアというスタンスなんだな」

瀬古「最大のライバルと思えるダノンスマッシュとの比較も難しいところですが、スプリント戦で安定した成績を残してきたナックビーナスを物差しにすると、キーンランドＣで捕まえきれなかったダノンより、２戦連続で振り切ったモズスーパーフレアが上と見ていいでしょう。担当の竹中助手も“４走前は中１週だったのも影響したと思いますが、やはり当日の気配は鍵になります。全身を使って走れるようになり後肢に筋肉がついて馬は本当に良くなっていますから、輸送さえクリアできたら”とのことでした。僕はクリアできる方に賭けてみます」