◎の数に差が　グランアレグリア「ぼんやりとした不安」には否定の声

令和最初のＧIウィナーは　桜の女王か２歳王者か

デスク「令和最初のＧIは、桜花賞と朝日杯ＦＳの勝ち馬が文字通り雌雄を決する戦いとなる形だが、桜花賞馬に軍配を上げたＴＭが数の上では圧倒しているんだな」

武井「グランアレグリアの桜花賞は、昨年のアーモンドアイよりコンマ４秒速いレースレコードでの勝利でしたが、前半３ハロンは昨年よりコンマ９秒も遅いペースだったことを考えても、価値のある時計です。朝日杯ＦＳでは、アドマイヤマーズに外から被されて怯むところを見せて伸びも欠きましたが、早目のロングスパートから並ばれるところなく抜け出したあたり、敗戦を糧として確かな進歩を示すレースぶりでした。新馬戦の好時計勝ちからも、今の東京の高速馬場も望むところでしょうし、朝日杯の雪辱を果たすシーンが濃厚と見ました」

佐藤直「武井も言う通り、ゆったり入った流れでのあの時計は凄いよ。単なる時計上の評価ではなく、アーモンドアイを上回る歴代ナンバーワンの桜花賞馬と言っていいんじゃないか」

小野智「朝日杯は長距離輸送も右回りも初めてで、しかも１番人気に支持されてマークされる身でしたから、キャリア３戦目の牝馬にはかわいそうな状況だったと思います。２戦２勝の東京で、直さん曰く“アーモンドアイ以上”の馬が、負けるわけにはいきませんよね」

大江原「見た目にも数字的にも圧倒的なパフォーマンスだった桜花賞から、よりスムーズに走れる左回りの東京に替わるんだから、これは牡馬相手がどうこうの問題じゃないだろうな」

デスク「ただ、それなりの理由があるとはいえ、グランアレグリアが朝日杯でアドマイヤマーズに負けた事実は直視しなければならないと思うが」

加茂「桜花賞もぶっつけだったわけやけど、今から思えば朝日杯の時は調整が緩かったんとちゃいますか。本来の走りさえできれば、牡馬相手でも全くヒケは取らないはずや」

桜井「桜花賞では自分から勝ちに動く形での完勝で、同じ先行する形でも朝日杯は少し違う競馬でしたからね。このカテゴリーでは牡牝を通じての世代トップと見ていいでしょう」

須藤「そもそも、グランアレグリアは、朝日杯でアドマイヤマーズのみならずクリノガウディーにも先着を許したわけですから、これは全く自分の走りができていなかったと見るべきです。東京での瞬発力勝負なら、あのようなことも起こらないのではないかと」

デスク「まぁ、◎は他の馬に譲っても○以下の印には落とせない、という予想スタッフの中で、田崎だけが“注”なんだけど」

田崎「ちょっとぼんやりとした不安ではあるんですが、グランアレグリアがレース間隔を開けずに使うのは今回が初めてですからね。調整面で、それが吉と出るか凶と出るか…」

馬場「中間が在厩での調整となるのも初めてとなるわけですが、“前回使ったことで今回の方が調整しやすかった。疲れは感じないし前走時より毛ヅヤも良くなり良い状態。大事に使ってきたことで一戦ごとの良化度は大きい”と、陣営の雰囲気には不安のカケラもありませんでしたけどね。“朝日杯の時はキャリアの差が出た感じ”とのことで、同じ相手でももう負けないと見ていいですよ」

優馬ＴＭ陣の◎も集中した桜花賞馬グランアレグリア（撮影：日刊ゲンダイ）

坂倉「僕は、グランアレグリアの朝日杯がたとえベストの走りではなかったとしても、アドマイヤマーズが付けたコンマ４秒の差は決定的じゃないかと見ています。年明けからの２戦こそ、２歳王者としては案外の結果でしたが、皐月賞なども２０００ｍは少し長い印象を受けましたし、ベストと思えるマイル戦に戻れば復権できるのではないでしょうか」

西田「アドマイヤマーズの皐月賞は、勝負どころで思ったほど動けず、上位３頭にも差を付けられてしまいましたが、２０００ｍが長かったと考えれば、マイラーとしての高い資質を見直すべきです。瞬時に動けるタイプではなく長く脚を使えるので、東京マイルも適舞台だと思いますね」

広田「皐月賞では上位３頭に先に仕掛けられましたが、西田さんも指摘する通り、スパッとキレるタイプではないだけに、先に仕掛けて後続を待ちたかったというのが陣営の本音。２０００ｍという距離を考えて鞍上も慎重になったんでしょうが、今回は４戦４勝のマイル戦ですからね。友道師も“競馬場は違えどベストの距離だから、朝日杯のイメージでレースをしてほしい”と、注文を付けていました。ただ、少し気懸かりなのが鞍上のＭデムーロ騎手ですね。先週の天皇賞もそうだったように、絶好調のルメール騎手とは対照的に消極的なレースが目立ちますし、本来の思い切った騎乗でアドマイヤマーズの長所を引き出してくれることを願っているんですが…」