横山典は常日頃から… 「無謀な策ではない」大逃げで後続幻惑

佐藤直文 レース回顧
京成杯オータムハンデ

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ノリマジックで驚愕レコード トロワゼトワル

 台風接近の影響も心配された中で、絶好の馬場に恵まれたこともあっての驚異的なレコード決着。テンの3ハロンが33秒3、1000m通過も55秒4というラップは、誰の目にも速過ぎると映ったはずだが、これだけ飛ばして上がり3ハロンを34秒9でまとめた馬も凄いが、それ以上に鞍上が凄かった。まさしくマジックと言える騎乗ぶりだった。

 そのトロワゼトワル。逃げ馬不在のメンバーで、デビュー以来一度もハナを切ったことがない馬を思い切って行かせた鞍上の好判断には舌を巻くしかないが、2走前と3走前に手綱を取って、この馬の素質の高さを見抜いていたからこそであり、けっして無謀な策ではなかった。常日頃から“僕は馬と話しながら乗ってますから”と言う横山典騎手ならではの大逃げに、後続のジョッキーもまんまとしてやられた形だった。

トロワゼトワル

1分30秒3の日本レコードでトロワゼトワルが重賞初制覇(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ディメンシオンは、離れた好位からの追走だったが、ここでもかなり厳しいペースであり、よく踏ん張ったと言えるだろう。

 3着ジャンダルムは、枠なりに好位をロスなく運んで、これまた渋太く粘って見せたもの。長くスランプ状態にあった馬だが、前走も含めて復活への手応えは掴んだかと思える走りだった。

 4着カルヴァリオは、枠なりにインをロスなく運んで、直線でスムーズに馬場の中ほどへ持ち出す絶妙の立ち回り。今日の速い流れでもこういう競馬ができたことは収穫だろう。

 5着プロディガルサンは、後方で脚を溜めての直線勝負だったが、この競馬では内枠がアダとなってしまった印象。

 クリノガウディーは、前走同様に控える形の競馬だったが、速い時計の決着での決め手勝負では分が悪かったか。グルーヴィットにも同様のことが言えるが、こちらは中山マイルのコース自体が合わない印象を受けた。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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