負かした相手が世界で活躍 ジョッキーも自信「凄い馬だから」
連覇を狙うダービー馬か 世界も制した名うての中山巧者か
デスク「昨年はGIホース2頭のワンツーという順当な決着だったけど、今年もGIホース2頭の一騎打ちムードが漂うな」
武井「2頭の甲乙は付け難いところはありますが、僕はウインブライトを◎としました。待望のGI制覇となった香港での前走は、2着エグザルタントが現地の次走で、3着リスグラシューが宝塚記念を、そして6着ディアドラが英国のナッソーSをと、負かした馬たちが世界各国のGIを制覇しているという点でも、相当な価値のある勝利だったと思います。同期のダービー馬で最大の強敵となるレイデオロに対しては、レースで掛かることなく道中でも自在に動けるという強味がありますし、何より得意の中山なら崩れるシーンが浮かびませんね」
大江原「ウインブライトは、非の打ちどころがない今年の成績と充実ぶりに加え、この中山で重賞4勝という抜群のコース実績を誇っているんだから、ちょっと逆らえないよな。この頭数なら紛れもなさそうだし、松岡騎手が付きっ切りで調教をつけているのなら、久々の不安もないだろう」
小野智「その松岡騎手ですが“仕上りは問題なし。これまでは自分が負かしてやろうという立場だったけど、今度は皆が負かしに来る形。もちろん、その心地良いプレッシャーはあるけど、それに応えられる凄い馬だからね”と、自信の表情でしたよ。初の2200mや、ペースメーカーとなる逃げ馬がいないことの不安を考慮した上でのコメントですから、相当な手応えがあると見ていいですし、私もこの馬の成長ぶりに賭けてみたいですね」
守屋「ウインブライトは、父ステイゴールドと同様の成長曲線で円熟期を迎えた感がありますが、具体的にどの辺りが良くなってきたのかについて、松岡騎手は“馬体の緩さがなくなりトモもシッカリしてきた”と、畠山吉師も“ハミを取ってからの加速の良さや反応の良さが、成長の証し”と話してましたね。海外遠征帰りの放牧明けとなりますが、美浦への帰厩は7月上旬と早く、そこから時計を出し始めるまでに1ヶ月もかけるという入念な調整で“ここに間に合うよう逆算して調教を積んでこれたし、仕上がりは8割5分まできた”と、師も満足気な表情を浮かべてましたよ」
デスク「さっき智美も言ってたけど、中山巧者であっても、この2200mは初めてなんだよな。そもそも2000mまでにしか良績がない馬だし、そのあたりは鍵になると思うんだが」
守屋「そのあたりについて、師は“中山の外回りはマイル戦で経験しているし、これまでの走りを見ても、距離は大丈夫だと思う”とのことでした。この秋は、ここから天皇賞→香港カップとローテーションは決まっていますが、“先のためにも、ぜひ好スタートを切りたい”という言葉からも、単なる叩き台の意味合いではなく、しっかり勝ちにきたという意思があるのは取材を通してひしひしと感じましたよ」
佐藤直「ただ、中山2200mというのは一種独特のコース形態だから、内回りの2000mプラス200mという単純な計算はできないんだよな。だったら、あくまでもこの舞台の実績を重視すべきで、昨年の覇者レイデオロを信頼すべきだよ。その昨年はドバイ以来の半年ぶりだったけど、間に宝塚を挟んだ今年は調整も楽になったと思えるし、素軽さの中にも重厚感がある動きで、この馬も一段とパワーアップした印象を受けるぞ」
山崎「その前走、宝塚記念については、ドバイ遠征の疲れが残っていたんじゃないかと思いますよ。折り合いが鍵となることもあってか、今回が初騎乗となる福永騎手が美浦に駆け付けての最終追いとなりましたが、全く問題なくスムーズに折り合えてましたからね。昨年の京都記念や今年のドバイのような“自滅”はないと見ていいと思います」
馬場「約3ヶ月ぶりとなるのは前走の宝塚記念と同じですが“海外帰りだった前走時よりもいい状態で、春より秋の方が状態も上がってくる感じはある”と、陣営も仕上げには自信を持ってましたよ。これまた大目標は先となりますが、ここ2戦で本来の競馬ができなかっただけに、余計に幸先のいいスタートを切りたいはずです」
西田「私はGI馬2頭の一騎打ちではなく、それにミッキースワローを加えた3強ムードと見ています。先ほど直さんが言われていた中山2200mでの実績についても、セントライト記念勝ちとアメリカJCCの2着なら申し分ないですし、格では見劣ってもGI馬と2キロの斤量差があれば互角以上に戦えるのではないでしょうか」
板子「ミッキースワローは、後方からの脚質であるため展開の注文があった馬ですが、前走の七夕賞では道中の行きっぷりからして普段とは違い、終始外を回しながら押し切っての貫禄勝ち。トップハンデを背負う中で地力の高さを証明した形でしたが、以前より成熟した姿を見せた印象を受けました。今の中山は、先週のように馬場が渋っても高速化、そして内有利と、この馬にとっては難しい条件になりそうですが、それでも勝ち負けを期待できると思います」
小桧山「とにかく陣営への取材の感触も良かったぞ。今までにない競馬だった前走については“自分のタイミングで動いて行けたし、ハンデを背負ってのものだけに力を再認識した”と、菊沢師も目を細めていたし、今回についても“相手は強くなるが、捌きやすい頭数になるのは好材料。4コーナーを射程圏で回って来れたら、チャンスはある”と、色気十分だったからな。鞍上も手の内に入れているし、俺も勝負になると思っているぞ」
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