いきなりの“豪雨”だけではない ノースブリッジ勝利の陰に「在厩調整」

佐藤直文 レース回顧
エプソムカップ

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真面目に走ればこんなに強い 軌道に乗ったノースブリッジ

 午後7レースの発走前に豪雨に見舞われた東京競馬場。一旦は良馬場にまで回復していた芝も、短時間の降雨で重馬場へと変わったほどで、一気に緩んだ馬場への対応が求められる一戦となった。

 ノースブリッジは、序盤は鞍上が行きたがるのを宥めながらの好位追走だったが、緩い馬場もあってか抑えが利いた印象。直線では馬場のいい外目に持ち出して早目に先頭に立ち、最後は苦しくなって内にモタれたものの、力を余すことなく出し切っての快勝だった。2月20日に3勝クラスを勝ち上がってから中4ケ月。目標が先にある場合は外厩での調整が主流となっている中で、在厩でメンタル面に気を遣いながら調整して仕上げてきたことも、今回の大仕事に繋がったのではないだろうか。

ノースブリッジ

早め先頭の4番人気ノースブリッジ(黄帽)がそのまま押し切って重賞初制覇

 2着ガロアクリークは、リズム重視の運びで折り合いに専念し、直線では馬場のいい大外に持ち出して詰め寄ったもの。決め手不足がネックとなったいた馬だが、スローペースでもレースの上がりが35秒1もかかった馬場を味方に付けたとも言える。

 3着ダーリントンホールは、勝ち馬を前に見る形での追走だったが、直線を向いてからの反応が一息で、最後も外の2着馬に伸び負けしてしまった形。ただ、良馬場であればもっとやれたかもしれない。

 4着ジャスティンカフェは、道悪で勝った実績があるとはいえ、やはり今日のような馬場はマイナスで、3コーナーあたりからは馬群から置かれた形での最後方。あの位置からでは馬場のいい大外へ持ち出すこともできず、やむなく内を回って差を詰めたが、本来の瞬発力を見せることができなかった。これまた馬場に泣いたクチだろう。

 5着タイムトゥヘヴンは、内枠から下げての後方待機。直線でもうまくスペースを見つけて差を詰めたが、やはり今日の馬場では本来のキレ味を見せることができなかった。

 ザダルは、枠なりに馬場のいい外目を回ることができたが、58キロの斤量もあってか伸びは今ひとつ。理想は降雨前のような少し時計のかかる良馬場だったろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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