優馬編集長 上田一幸・思い出のダービー　1996年第63回 優勝馬フサイチコンコルド

３戦目でダービーを制した天才コンコルド

　ゲンキンなもので、思い出のダービーと問われれば 馬券を取ったレースしか思い出せない。いや、思い出したくないというのが正解か。人間というのは、都合のいいことは覚えていて 逆に都合の悪いことは忘れるしくみになっているらしい。

　私の場合、フサイチコンコルドが勝った1996年が いい思い出となろうか。フサイチコンコルドは僅か３戦目でダービーを制覇。１番人気だったダンスインザダークとの叩き合いを制し、武豊の初ダービー初制覇を阻んだ。単勝27.6倍、７番人気での制覇であった。

　３戦目でのダービー制覇は、最少キャリア記録である。他にフレーモア（1934年）、ガヴァナー（1935年）、クリフジ（1943年）が３戦目でダービー制覇を果たしているが、３頭すべて戦前の記録。”競馬の成熟度が全く違う” 平成の時代に、３頭の記録に並んだフサイチコンコルドは凄いとしかいいようがない。

　無敗のダービー馬というカテゴリーでも、フサイチコンコルドは異彩を放つ。ここまで無敗でダービーを制した馬は10頭いるが、戦後７頭の中では唯一頭、皐月賞馬ではなかったのだ。