プラス16キロはソックリ成長分 性能の違いでファンタジスト

佐藤直文 レース回顧
小倉2歳S

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ストレスを与えない好騎乗も光った ファンタジスト

 出走馬の多くが逃げや先行で勝ち上がってきただけに、スタート直後の1ハロンのあたりでは5、6頭が雁行しての先行争いとなったが、テン33秒4のハイラップで失速した馬はもちろんのこと、先行争いを避けて引っ張った馬も戦意を喪失してしまった印象。若駒のレースの難しさがよく表れた一戦だった。

 ファンタジストは、その先行争いを演じながらも、馬群の外目に持ち出して気分良く流れに乗れていた。若駒にストレスを与えない騎乗ぶりは、さすがに4000勝目前の鞍上ならではであり、最後までスピードに陰りを見せなかった馬にもかなりのスプリント性能を感じた。プラス16キロの馬体も全く太くは映らず、ソックリ成長分だったと言えよう。

ファンタジスト

抜け出してからもスピードが衰えなかったファンタジスト(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着アズマヘリテージは、勝ち馬以外の先行勢が失速した中で、直線はインから渋太く脚を使って浮上したもの。持ち時計で見劣っていたために人気はなかったが、雨の影響で少し時計のかかる馬場となったのが良かったのだろう。

 3着ミヤジシルフィードは、ゴチャついた先行争いを避けて序盤で控えたことが功を奏し、直線でしっかりと脚を伸ばした形。今日のような競馬ができるのなら、距離が延びていいタイプかもしれない。

 4着アーデントリーは、2着馬同様に後方からインをついて伸びたもの。過去2戦とは違う形の競馬ができたことは収穫だったか。

 5着チュウワフライヤーは、最内枠を利してハナ争いを制し、直線でも残り1ハロンの地点までは勝ち馬に抵抗していたが、最後には失速してしまった。

 シングルアップは、出負けしながらも一旦は先団直後までポジションを上げたが、そこで引いたことで冒頭でも記したように戦意を喪失してしまった感を受ける。ルチアーナミノルにも同様のことが言え、先行争いを控えたことで結果的にモマれて力を発揮することができなかった。セプタリアンは、ゲートで暴れて外枠発走となったのが全てだったが、こちらのプラス14キロの馬体はやはり少し重かったか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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