シュンドルボンが実力発揮で快勝 ルージュバックは復活ならず

佐藤直文 レース回顧
中山牝馬S

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強敵撃破で大舞台へ 今が旬のシュンドルボン

 前半1000m通過が63秒7という超スローペースであったが、そこからの4ハロンは全て11秒台のラップで、完全な瞬発力勝負となった。スローでも前残りとならない典型的なパターンだが、勝ち馬からシンガリまでがコンマ7秒差というのも、ハンデ戦だったこと以上に、残り4ハロンだけの勝負となったためであろう。

 シュンドルボンは、けっして有利とは言えない大外枠だったが、最大の敵であるルージュバックが隣の枠だったことで、終始マークする形で運ぶことができ、そう考えると絶好枠だったろう。前半のスローな流れでもしっかりと折り合って脚を溜め、ルージュの仕掛けに合わせての進出も、ドンピシャのタイミング。エリザべス女王杯では、自身が56キロに対しルージュが54キロでのコンマ1秒差であったが、その斤量がソックリ逆になった今回は、逆転も不思議のない結果だ。終始外を回るロスをあったことも考えれば、着差は僅かとはいえ、3着以下の馬に対して明らかな力上位を示したものであり、瞬発力勝負で結果を出したのであれば、目標のヴィクトリアマイルでも楽しみと言えるだろう。

 ルージュバックは、斤量差やマークされる形、そしてレース後に落鉄も判明したことを考えれば、これまた地力上位を示す2着だろう。ただ、本来はこんなところに出走する馬ではないし、美浦に入厩して10日での競馬も予定通りとはいえ、ベストの状態には見えなかった。レース運びは勝ち馬同様に完璧に近かっただけに、本来の力を発揮できる状態であれば、斤量差など“どこ吹く風”での圧勝もあったはず。強い2着ではあっても、復活の2着ではけっしてない。

 3着メイショウスザンナは、全くのノーマークであったが、札幌のクイーンS勝ちが示すように、コーナー4つの1800m、そして少し時計のかかる馬場が合っていたのだろう。けっしてハンデにも恵まれていたわけではなかっただけに、条件さえ合えば、またどこかで穴を演出しても不思議はない。

 4着アルマディヴァンは、序盤でハナを奪うという横山典騎手らしい思い切った奇襲策。本来はマイルまでの馬だと思うが、スローに流れたことと、勝負どころで外からマクられても自分のペースを守ったことで、最後まで脚を使えたのだろう。

 5着ハピネスダンサーは、中団で流れに乗って運べていたが、前走もそうだったように重賞において瞬発力で勝負できるだけのレベルには達していないと思える。ある程度前で運んで早目に進出、という形の方がいいのではないだろうか。

 アースライズは、内枠のせいか序盤は前目のポジションで運んだが、勝負どころで包まれて後退したもの。ただ、行くなら行くで積極性が欲しかったし、控えるなら最初から控えるべきではなかったか。ゴール前の伸びは目立っていただけに、今日の結果も力負けではないが、自分の競馬ができなかったことが最大の敗因だ。牡馬も牝馬も世代レベルの高い4歳勢は、ルージュバック以外は掲示板にも載らなかったわけだが、このレースではこれまでも4歳馬が不振の傾向だ。能力や勢い以上に、レース経験の豊富さが問われるということだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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